2001 Fiscal Year Annual Research Report
安定化過冷却液体を利用したバルク金属ガラス複合材料の創製と性質
Project/Area Number |
13750638
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80323096)
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Keywords | バルクガラス合金 / 過冷却液体 / 複合材料 / 非線形粘性流動 / 応力誘起構造変化 / ナノ準結晶 |
Research Abstract |
バルク金属ガラスを母相とした複合材料の開発の有効な手法として、非晶質相からの結晶化が挙げられる。金属ガラスは、そもそも液体構造が急冷によって固体として凍結した熱力学的非平衡状態である。よって、昇温に伴って粘性率が減少し、〜10^<12>Pas程でガラス遷移現象し、過冷却液体状態へ移行する。この過冷却液体状態も準安定であるために、温度に依存した潜伏期間の後に結晶化が生じる。結晶化初期過程において核生成頻度が大きい合金組成の場合、適当な熱処理を施すことにより、ガラス合金母相にナノ結晶相を分散させた複合材料が得られる。このような合金組成の例として、高強度・高靭性を有するZr-Al-Ni-Cu系合金に数原子%のPdやAgを添加した5元合金が挙げられる。この合金は2段の結晶化挙動であり、第1段目は過冷却液体からのナノ準結晶粒子の析出、そして第2段目はそのナノ準結晶相からの最終結晶相への相変態に対応していることが明らかになっている。本研究では、粘性流動を利用した複合材料化の観点から、線形並びに非線形粘性流動がZr_<65>A1_<7.5>Ni_<l0>Cu_<7.5>Pd_5過冷却液体からのナノ準結晶粒子の析出に及ぼす影響について調査し、粘性流動を用いた複合相形成の基礎的知見を得た。このガラス合金の過冷却液体域である673Kで、60sの等温熱処理中に、線形粘性流動(歪速度:2×10^<-3>s^<-1>)と非線形粘性流動く歪速度:1×10^<-2>s^<-1>)を施し急冷したそれぞれの相を、示差走査熱量計(DSC)と透過型電子顕微鏡を用いて調査した。この結果、非線形粘性流動を施した相では、ナノ準結晶粒子の析出量が、線形および無変形試料のものより小さいことが確認された。これは、非線形粘性流動が相のDisorder効果を有していることに起因すると考えられる。つまり、熱処理中に形成した準結晶核が非線形粘性流動によって破壊される結果、準結晶相の析出が抑制されたというもので、この知見は、過冷却液体を有する金属ガラス複合材料設計において、線形・非線形粘性流動が相の組織制御に関わるパラメータとなりうることを示している。 今後は、粘性流動の非線形化も手段の一つであると考慮して、複合材料設計を展開する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Kato, A.Inoue, H.S.Chen: "Creep deformation and stress-induced structural disorder near Tg in a Zr_<55>Al_<15C_<15>Cu_<30> glassy alloy"Applied Physics Letters. Volume 79 Number 27. 4515-4517 (2001)
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[Publications] N.Nishiyama, H.Kato, J.Saida, A.Inoue, H.S.Chen: "Heat of Evolution and Non-Newtonian Viscous Flow of Pd_<40>Ni_<40>P_<20> Glassy Alloy"Japan Journal Applied Physics. Volume 41 Part 1 Number 2A. 741-745 (2002)
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[Publications] H.Kato, T.Hirano, A.Inoue, H.S.Chen, Y.Kawamura: "Influence of ZrC Dispersion on Viscous Flow Behavior of the Zr-Al-Ni-Cu Bulk Glassy Alloy"Proceedings of the Fourth Pacific Rim International Conference on Advanced Materials and Processing (PRICM4). 111-114 (2001)
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[Publications] F.Chen, M.Takagi, T.Imura, Y.Kawamura, H.Kato, A.Inoue: "Crystallization of Zr_<55>Al_<10>Ni_5Cu_<30> Bulk Metallic Glass Composites Containing ZrC Particles"Materials Transactions. Volume 43 Number 1. 1-4 (2001)