2001 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性金属/(酸化物,窒化物,水素化物)人工格子による巨大表面磁気異方性の探索
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13750639
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10292278)
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Keywords | 強磁性 / 超常磁性 / 硬質磁性 / 表面磁気異方性 / 超薄膜 / 人工格子 / 磁気光学Kerr効果 / グラニュラー膜 |
Research Abstract |
超高真空DC,RF多元スパッタ装置を用いて超薄膜領域の強磁性金属からなる人工格子膜を作製し,それらの磁気特性の評価から高い表面磁気異方性を有する系を見出すことを目的として研究を行った.まず次世代の超高密度記録媒体として期待されるCo/Pd多層膜での表面磁気異方性のエンハンスメント効果を調べることを目的として,水素導入ならびに希土類添加(Sm)を試みた.Co/Pd多層膜への水素導入は,常温で一定水素圧力の下で行った.水素はPd層にのみ導入され,その結果,体積比で9.3%に達する格子膨張が観測された.その際の表面磁気異方性の挙動を測定した結果,水素圧力が1.3atmにおいて2倍以上の表面磁気異方性の増大が確認された.この時の実効的な磁気異方性自体も水素導入前に比べて約2倍程度に増大している.またSm添加を行った場合,Sm8at.%において36%の表面磁気異方性のエンハンスメントが確認された.これらの結果から,基本的な磁気特性を変化させること無く表面磁気異方性を高める手段として上記手法が有効であることを明らかとした.また,強磁性/非金属界面の組合わせとしてM(=Fe,Co)/MgO多層膜を作成し,構造評価を行ったところ,この系では界面反応層は形成されず,表面磁気異方性の研究に最適であることが分った.この系においてM=Feで垂直,M=Coで面内方向の強い磁気異方性が発現しており,これらが表面磁気異方性に起因したものであることを確認し,その大きさは1erg/cm^2を越える強いものであることを実験的に明らかにした. これらの成果は表面磁気異方性の大きさ,ならびにその方向を制御する手法として,今後の磁気記録媒体における材料設計の新たな指針を与えるものである.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岡本 聡 他: "水素雰囲気中のPd/Co/Pd三層膜の磁気特性"日本応用磁気学会誌. 25号. 839-842 (2001)
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[Publications] S.Okamoto 他: "Enhancement of magnetic surface anisotropy of Pd/Co/Pd trilayers by the addition of Sm"Journal of Applied Physics. 90号. 4085-4088 (2001)