高強度マグネシウム合金のミクロ組織安定性と強度改善

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13750643
• Research Category: Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 鈴木 真由美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292245)
• Keywords: Mg-Y合金 / 高温クリープ / 析出強化 / 動的析出 / 予クリープ / 準安定相 / 変形下部組織

Research Abstract

Mgに希土類元素を添加するとその機械的性質は著しく向上し,特にY(イットリウム)は大きな強度改善効果をもち,実用耐熱マグネシウム合金に必須の元素である.多くのMg-Y基合金には分散強化を狙って析出物が含まれているが,クリープ条件下では時間経過と共に析出物の粗大化が生じ,材料弱化の原因となる.本年度はMg-Y合金の析出物の熱的安定性と,それらの析出物がクリープ挙動に与える影響を調査した.
(1)Mg-Y合金の強化相の一つである準安定相β'は,粒内に転位や双晶界面が存在する場合,それらを核生成サイトとして速やかに析出する.そのため,あらかじめ予クリープを施した試料に時効処理を行うと,静的時効では析出が生じないような条件下でも粒内に多数の析出物が導入される.そのため,予変形と時効処理の組み合わせで,短時間の熱処理で微細なβ'相粒内に分散することが可能となる.
(2)(1)の方法で粒内を強化した材料をクリープ試験に供すると,変形のごく初期から非常に低いひずみ速度が得られ,5%クリープひずみに達する時間は過飽和固溶体をそのまま試験に供した場合の約10倍となる.しかしながら得られる最小ひずみ速度は,過飽和固溶体をそのまま試験に供した場合とほぼ同等であった.
(3)高濃度のYを含むMg-Y合金のクリープ中には転位上への動的析出と,析出物の粗大化が同時に進行する.析出過程は変形のごく早い段階で終了し,変形後半はそれらの析出物の粗大化が弱化の要因となる.
Mg-Y合金系の準安定相β'の熱的不安定性は本質的なものであり,これらを制御することで破断までのクリープ寿命そのものを画期的に改善することは難しいが,実用上重要な遷移域のクリープ挙動は初期の粒内の強度に大きく依存する.予変形と熱処理の組み合わせで微細なβ'相を効率的に導入することが可能となる.

Research Products

• [Publications] M.Suzuki, T.Kimura, H. Sato, K.Maruyama, H.Oikawa: "Creep behavior and deformation substructures of Mg-Y alloys containing precipitates"Proc. of 9th Intern. Conf. On creep and Fracture of Engineering Materials and Structures (CFEMS 9). 147-156 (2001)
• [Publications] M.Suzuki, T.Kimura, H.Sato, J.Koike, .K.Maruyama, H.Oikawa: "Effects of Initial Microstructure on Creep Behavior of Precipitation-hardened Mg-Y Alloys at 530K"The Fourth Pacific Rim Intern. Conf. On Advanced Materials and Processing (PRICM4). 1163-1166 (2001)
• [Publications] M.Suzuki, H.Sato, K.Maruyama, H.Oikawa: "Creep deformation behavior and dislocation substructures of Mg-Y binary alloys"Materials Science and Engineering A. A319-321. 751-755 (2001)
• [Publications] K. Maruyama, M. Suzuki, H. Sato: "Creep Strength of Magnesium-Based Alloys"Material Transaction A. (In press).