2001 Fiscal Year Annual Research Report
空気中で電場駆動する高分子アクチュエータ材料に関する研究
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13750651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
奥崎 秀典 山梨大学, 工学部, 助手 (60273033)
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Keywords | ポリピロールフィルム / 導電性高分子 / アクチュエータ / 人工筋肉 / 電場 / 空中作動型 / 吸脱着 / 湿度 |
Research Abstract |
湿度変化に対する高分子材料の変形を直接,力学的エネルギーや仕事に変換することができれば,クリーンで高効率な空中作動型アクチュエータや人工筋肉素子などへの応用が期待できる。以前我々は,導電性高分子であるポリピロールの固体フィルムが空気中で高速変形する現象を見出し,系統的な研究を行ってきた。平成13年度は,より詳細なメカニズムを明らかにするために,ピロールとメチルピロールの共重合フィルムを作製し,電導度,力学特性および湿度応答特性について検討した。 実験に使用したフィルムはピロールと1-および3-メチルピロールをモノマーとし,テトラアンモニウムテトラフルオロホウ酸の存在下,電解重合により作製した。電導度は四端子法により測定し,ヤング率,切断強度,切断伸度は応力歪曲線より算出した。フィルムの伸縮挙動は,てこの原理を応用した装置を用い,レーザー変位計で測定した。151S/cmであったポリピロールフィルムの電導度は,1-メチルピロールの割合(α)の増加と共に低下し,α=0.5で4S/cmであった。これは,1-メチルピロールの導入により高分子鎖の平面性が低下したためと考えられる。一方,フィルムの引張試験において切断強度および伸度がαの増加と共に低下し,また3-メチルピロールとの共重合フィルムにおいても同様の傾向が見られることがわかった。線膨張係数(β)はポリピロールフィルムで最も大きく,メチルピロールの導入と共に低下した。これは,フィルムの疎水性が増大したためと考えられる。ここで,βがメチル基の置換位置に依存しないことから,水分子はピロール環のNH基に水素結合しているというよりは,むしろ高分子鎖全体にわたって相互作用していると考えられる。一方,フィルムの湿度応答はドープ率によっても変化し,脱ドープによりβが低下することがわかった。これは,高分子鎖の還元による疎水性の増大およびドーパントイオン濃度の減少による含水量の低下に起因すると考えられる。実験結果より,ポリピロール鎖の化学修飾および酸化状態を変化させることにより,フィルムの湿度応答性を制御できることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Okuzaki, I.Kubota: "Zone-Drawn Poly(p-phenylene)Films. Effects of Molecular Orientation on Electrical and Mechanical Properties"Macromolecular Rapid Communications. 22. 114-119 (2001)
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[Publications] A.G.MacDiarmid et al.: "Electrically-Generated Nanofibers of Electronic Polymers"Synthetic Metals. 119. 27-30 (2001)
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[Publications] 奥崎秀典, 服部正: "導電性高分子フィルムの電気収縮挙動における異方性の発現"第50回高分子学会年次大会. IIH01. (2001)
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[Publications] 坂本裕子, 奥崎秀典: "ポリピロールフィルムの湿度応答特性における置換基の効果"第50回高分子学会年次大会. IIPh064. (2001)