2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 正和 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90323534)
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Keywords | 金ナノ粒子 / HAuCl_4 / 光還元 / 核発生 / 紫外・可視吸収スペクトル / その場観察 |
Research Abstract |
水溶液中のAuCl_4^-イオンの光還元過程をその場観察するため、光学セルに紫外レーザー光(波長308nm、パルス幅20ns)と紫外・可視吸収スペクトルを観察するための白色光源が直交して入射する実験装置を設計・製作した。スペクトルの連続観察には、CCDを利用したマルチチャンネル式分光器を用いた。これにより、AuCl_4^-イオンにレーザーを照射して金ナノ粒子が生成する過程を最短20ms間隔で吸収スペクトルの変化として観察することが可能になった。 実際にAuCl_4^-イオンから金なの粒子を光還元により生成する過程を観察したところ、ナノ粒子特有のプラズモン吸収が観察されるまでの時間(核発生までの誘導期)が存在し、レーザー光強度が大きいほど誘導期が短い傾向が確認された。また、原料濃度一定の場合、レーザー光強度が異なっても、プラズモン吸収が現れる際には、原料濃度の減少率がほぼ一定であった。これは、金ナノ粒子が核発生する際に、前駆体の臨界濃度が存在する可能性を示唆している。これらの点をさらに系統的に検討することで、光還元による金属ナノ粒子生成と既往の核発生に関する理論との対応づけを行うことができると期待される。 なお、実験の遂行にあたっては、原料であるAuCl_4^-イオンの安定性が大きな問題であり、再現性のある実験を行うために試行錯誤を余儀なくされた。平衡計算より、HAuCl_4^-水溶液は塩素を気相に放出しながらAuが還元されることがわかった。この傾向は溶液が希薄であるほど顕著であった。したがって、原料溶液を一定の状態で保つには、できるだけ濃度の高い原液を冷暗所で密封状態で保存し、実験の度に所定濃度に希釈して用いるのが良策である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Sugiyama, S.Inasawa, T.Hirose, T.Yonekawa, A.Takami, T.Omatsu, S.Koda: "Optical recording media using laser-induced size reduction of Aunanoparticles"Applied Physiscs Letters. 79. 1528-1530 (2001)