2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境応答型分子集合体を導入した化学発光検出用マイクロDNA分析システムの開発
Project/Area Number |
13750745
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷 博文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10271644)
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Keywords | DNA / ハイブリダイゼーション / マイクロ分析システム / 両親媒体高分子 / 分子集合体 / 化学発光 |
Research Abstract |
本年度は,DNAのハイブリダイゼーションに及ぼす会合性高分子の影響について検討した.温度感応型会合性高分子の末端にチオール基を導入し,プローブDNAと同時にシリコン基板に蒸着した金表面上に固定化した.この会合性高分子は加温するとコンパクトに折り畳まれ,冷却すると再び伸長する.したがって,プローブDNAとのアニールに必要な温度に冷却したとき立体的々にハイブリダイゼーションを阻害することが期待される.そこで,これまで行ってきた化学発光法によりハイブリダイゼーション効率ならびに選択性について会合性高分子の影響を検討した.しかしながら,会合性高分子の共存によりDNAの固定化量が大きく低下し,完全に相補性のあるDNAとのハイブリダイゼーションを検出することができなかった.そこで,分子量のより小さい高分子を使用したところ,DNAの結合量が増加し,ハイブリダイゼーションの検出が可能となった.諸条件についてさらに検討し,会合性高分子の相転移温度前後でのハイブリダイゼーションの量を比較したが,顕著な違いは見られず,また相補性の違いを識別することはできなかった.これらの結果から,会合性高分子の同時固定化によるDNAのハイブリダイゼーションの制御が困難であることが明らかとなった.今回の場合,DNAと環境応答型の反応制御を別々に使用したが,例えば両者を結合させたプローブDNAを用いることによりハイブリダイゼーションの制御が可能になるものと考える.一方,会合性高分子共存下における化学発光については,フルオレセインやジブロモフルオレセインを発光基質に用いたところ,相転移温度前後での発光量の顕著な変化が見られた.これにより,会合性高分子を用いた化学発光反応の制御が可能であることが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tamio KAMIDATE: "Uptake of Transition Metal Ions Using Liposomes Containing Dicetylphosphate as a Ligand"Analytical Sciences. 18・3. 273-276 (2002)
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[Publications] 前花 浩志: "金属キレートポリマーを導入したミゼル水性二相分配法におけるヒスチジンタグ融合チトクロムb5及びオリゴペプチドのアフィニティー分配"分析化学. 51・1. 13-19 (2002)