2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトソニケーションによる溶液構造制御とセラミックス原料粉体プロセスへの応用
Project/Area Number |
13750777
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
榎本 尚也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70232965)
|
Keywords | 微弱超音波 / シュウ酸エタノール沈殿法 / 貯蔵溶液 / 溶液構造 / 水・エタノールクラスター / NMR分光 / 緩和時間 |
Research Abstract |
本研究では、沈殿生成の誘導期間が出発溶液のエイジングにより著しく変化する奇妙な現象を解明し、ソフトソニケーション(微弱超音波照射)によって出発溶液の構造を効率的に変化させるための基礎的知見を得ることを目的とした。 13-14年度の研究内容は以下のように要約される。 1)取扱い易く、実験が容易なシュウ酸エタノール法の金属硝酸塩としてマグネシウム塩を選んだ。 2)出発溶液のエイジングに伴う沈殿生成の誘導期間を再現性よく測定するために電気伝導度測定が適している。 3)生成した沈殿物を固液分離、風乾後、X線回折装置により同定したところ、エイジング時間によらずにいずれもシュウ酸マグネシウム2水和物が得られた。エイジング時間が長くなると結晶子径が若干大きくなった。 4)出発溶液の構造変化を計測するためにNMR分光法を採用した。緩和時間(T1)の測定により溶液中のクラスターサイズが小さくなっていることが示唆された。この結果をもとにエイジングによる沈殿生成挙動変化をモデル化した。また、NMR以外にも導電率測定が出発溶液のエイジング挙動を追跡し得る簡便な方法であることを明らかにした。 5)微弱超音波プレート(強度〜mW/cm2、周波数40kHz)を用いて出発溶液のエイジングを行うと、IPが著しく大きくなる現象を見出した。溶液中での微弱超音波の振動振幅は概ね溶液中のクラスターサイズと同程度であり、一秒間に4万回という高速撹拌を適当な振幅で行うことが溶液構造の均一化・微細化に効果的であると推定された。 6)水を微量添加してエイジングした場合、緩和時間および導電率変化挙動が無添加の場合と逆になることを示した。 7)Stober法による球状シリカの合成では、1週間の出発溶液のエイジングによって球径が1.3倍程度まで増大し、その効果がソフトソニケーションにより著しく促進されることを確認した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] N.Enomoto et al.: "Soft and Hard Sonications to Ceramic Processing"Proceedings of the 4^<th> International conference on Materials Engineering for Resources 2001 Akita. Volume 2. 11-13 (2001)
-
[Publications] N.Enomoto et al.: "Sonochemical Processing of Inorganic Materials"Proc. Int'l Sympo. Innovative Materials Processing by Controlling Chemical Reaction Field. 121-124 (2002)
-
[Publications] N.Enomoto et al.: "Nanoparticles Syntheses in Sonochemical Field"Abstract of the 8th Seminar on core University Program between Japan and Korea. 15 (2002)
-
[Publications] 榎本尚也ほか: "シリコンアルコキシドのゾルゲルプロセスに対する超音波照射の影響"第11回ソノケミストリー討論会講演論文集. 18-20 (2002)
-
[Publications] 榎本尚也: "セラミックス材料のソノプロセス"化学工学. 67[2]. 78-79 (2003)