2002 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲン結合・水素結合の複合利用による超分子液晶材料の動的構造制御
Project/Area Number |
13750785
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蟹江 澄志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60302767)
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Keywords | 水素結合 / 超分子化学 / 液晶 / 物理ゲル / フルオロフェノール / 自己組織化 / 有機フッ素化合物 |
Research Abstract |
超分子化学の進展において,あらたな非共有結合の探索は重要である.ハロゲン結合は,近年注目されはじめたあたらしい非共有結合である.本研究では,ハロゲン結合・水素結合を複合的に利用する超分子液晶複合体を得ることを目的として研究を行った.ハロゲン結合・水素結合を形成し得る化合物として,フルオロフェノール部位を有するパラフェニレン誘導体を各種合成した.得られた化合物の液晶性および物理ゲル化能を精査した.その結果,2,3-ジフルオロフェノール部位を有するパラフェニレンのみが有機溶媒中で"フッ素-水素"水素結合を形成して物理ゲル化能を示すことがわかった.このゲル化剤は,ヘキサンなどの炭化水素,クロロホルム・ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒,およびベンゼン・トルエンのような芳香族炭化水素に対して特に高いゲル化能を示すことがわかった.SEM測定の結果,ゲル化剤の自己組織構造を調べたところ,繊維状の組織が観察され,このことがゲルの形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった.また,単結晶構造解析によりその水素結合パターンを調べたところ,ネットワーク状の"フッ素-水素結合"が物理ゲルの形成に重要であり,2種類の水素結合パターンが存在することがわかった.一方,液晶性を示す類縁体の単結晶構造解析を行ったところ,二量体型の"フッ素-水素"水素結合を形成していることがわかった.液晶性の発現や物理ゲル化能の発現にはフッ素の非共有結合性が重要であることを明らかにし,このことは,二種類の非共有結合性を制御することで異なる二種類の機能を発現・停止できるあらたな機能性材料の開発につながることが期待される.
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[Publications] M.Sawamura, K.Kawai, Y.Matsuo, K.Kanie, T.Kato, E.Nakamura: "Stacking of Conical Mesogens with a Fullerene Apex into Polar Columns in Crystals and Liquid Crystals"Nature. 419・17. 702-705 (2002)
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[Publications] J.Mamiya, K.Kanie, T.Hiyama, T.Ikeda, T.Kato: "A Mesogenic Organogelator : Fibrous Aggregation of Azobenzene Derivatives with a syn-Chiral Carbonate Moiety"Chemical Communications. 2002・17. 1870-1871 (2002)