2001 Fiscal Year Annual Research Report
光着色安定性と高温熱可逆性を併せもつフォトクロミックジアリールエテンの合成
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13750787
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小畠 誠也 九州大学, 工学研究院, 助手 (00325507)
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / 熱可逆性 / アルコキシ基 / π-共役 / 光記録材料 / 光安定性 / 量子収率 |
Research Abstract |
チオフェンやベンゾチオフェン環をアリール基とするジアリールエテンは熱安定性と繰り返し耐久性に優れたフォトクロミック化合物であり、紫外光照射により着色し、可視光照射により元の開環体に戻る。両異性体が熱安定であるため、光記録材料として期待されている。しかし、光生成した異性体は光により開環反応が起こるため、読み出すたびに記録スポットの感度は低下する。書き換え可能な光読出し記録材料実現には、光読み出し時に光開環反応が起こらないことが望まれる。本研究では、光書き込み、光読み出し、高温熱消去再生記録材料の開発を目指して、新規なジアリールエテン分子群の合成と物性の評価を行った。 本年度は、目的達成のために、(1)両異性体が室温付近で安定であること、(2)適度な光閉環反応量子収率を有すること(Φo→c>0.1)(3)光開環反応量子収率が極めて小さいこと(Φc→o<0.0001)、(4)閉環体が100〜120℃程度ですみやかに開環体に戻ること、の条件を満たすジアリールエテンの合成を行った。その中で最も難しい問題は、いかに(3)と(4)を同時に満たす分子を設計するかである。具体的には、(3)の条件を満たすために、チオフェン環をアリール基とするジアリールエテンをベースとし、アリール基の共役長を長くすることにより、光生成した閉環体が安定化し、光開環反応量子収率が小さくなる分子の合成を試みた。また、反応部位にアルコキシ置換基を導入することにより、光開環反応が抑制されることを見出した。さらに、(4)の条件を満たすために、反応部位にかさ高い置換基を導入し、高温での熱戻り反応を付与させた。具体的には、イソプロピル基やかさ高いアルコキシ置換基を導入した。現在、構造の最適化を行い、目的化合物を合成している。 来年度は、合成したジアリールエテンの光機能物性評価を行う。
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[Publications] K.Shibata: "Extraordinarily Low Cycloreversion Quantum Yields of Photochromic Diarylethenes with Methoxy Substituents"Chemistry Letters. 7号. 618-619 (2001)
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[Publications] K.Shibata: "Photocyclization/Cycloreversion Quantum Yileds of Diarylethenes in Single Crystals"The Journal of Physical Chemistry A. 106巻・1号. 209-214 (2002)