2002 Fiscal Year Annual Research Report
励起状態における分子認識能を利用した可逆的分子内光環化付加反応の設計と制御
Project/Area Number |
13750791
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前多 肇 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (40295720)
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Keywords | ナフタレン誘導体 / フェナントレン誘導体 / 光環化付加反応 / 一重項エキシプレックス / 長鎖アルキル基 / ゼオライト / エナンチオ選択性 / ジアステレオ選択性 |
Research Abstract |
芳香環へのアルケンの光環化付加反応は、高歪み化合物や多環式化合物を合成する手段として有用であるが、光励起状態にある活性種はエネルギーが高く、しかも短寿命であることから、しばしばその制御が困難となり、複雑な混合物を与えてしまう反応系が少なくない。本研究では、ナフタレン、フェナントレン環へのアルケン類の分子内および分子間光環化付加反応について検討し、以下の知見を得た。 (1)1-シアノナフタレンとアルケンとをエーテル鎖で連結した化合物の分子内光環化付加反応は、ナフタレン環の1,2位または3,4位で進行した。1,2位への付加体は光環開裂し原料へと戻るのに対し、3,4位への付加体は光照射しても変化しなかった。さらに、本反応の位置選択性はアルケニル基のドナー性、溶媒、金属塩の添加によって制御可能であることを明らかにした。 (2)長鎖アルキル基を導入したフェナントレンカルボン酸エステルとケイ皮酸エステルのベンゼン中における光反応は、メチル基を導入した化合物の光反応に比べてtrans付加体の生成割合が増加した。また、無溶媒系ではベンゼン中の反応では認められなかったケイ皮酸エステルの二量体が生成した。 (3)キラル化合物を担持させたゼオライト細孔内での分子内光環化付加反応について検討し、酒石酸ジエチルや不斉炭素をもつアミノアルコール類をキラル源として用いた場合、エナンチオ選択的に反応が進行することを見い出した。また、そのエナンチオマー過剰率はゼオライトのシリカ/アルミナ比、ゼオライト内のカチオンの種類、反応の転化率、反応基質とキラル源のモル比により制御可能であることを明らかにした。 (4)ナフタレン-フラン系エキシプレックスを経由する光環化付加反応のジアステレオ選択性について検討し、2-ナフトエ酸(l)-メンチルエステルと3-フリルメタノールとの反応がジアステレオ選択的に進行することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Maeda, Y.Miyata, K.Mizuno: "A Novel Photoreaction of 1,2-Diarylcyclopropanes with 9-Cyanophenanthrene : The Formation of (3+2) Photocycloadducts"Tetrahedron Lett.. 43・8. 1481-1486 (2002)
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[Publications] H.Maeda, L.Zhen, T.Hirai, K.Mizuno: "cis-trans Photoisomerization of Bicyclic Diphenylvinylidenecyclopropanes"ITE Letters on Batteries, New Technologies & Medicine. 3・4. 485-488 (2002)
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[Publications] K.Mizuno, K.Nakanishi, Y.Otsuji, T.Hayamizu, H.Maeda, T.Adachi, A.Ishida, S.Takamuku: "Formation and Cycloreversion of 2-Silacyclobuta[2.3]cyclophanes via Photoinduced Electron Transfer"J. Photoscience. (印刷中). (2003)
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[Publications] K.Mizuno, H.Maeda: "CRC Handbook of Photochemistry and Photobiology Vol.2"CRC Press, Inc.(未定). (2003)