2001 Fiscal Year Annual Research Report
ポリヒドロキシアルカン酸分解酵素の作用によるポリエステルの表面構造変化
Project/Area Number |
13750826
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉江 尚子 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (20224678)
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Keywords | ポリヒドロキシアルカン酸分解酵素 / 生分解性ポリマー / ATR-FTIR / 表面解析 / 表面結晶化度 |
Research Abstract |
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)分解酵素によるPHAの加水分解機構として、吸着と分解の2段階反応であるとするモデルが受け入れられている。また、このうちの吸着反応に関して基質特異性が比較的広く、PHA分解酵素はPHA以外のポリエステルの表面にも吸着することが知られている。本研究はこの事実に基づき、PHA分解酵素の各種ポリエステル表面に対する作用を減衰全反射モードの赤外分光法(ATR-FTIR)を用いて解析することにより、PHA分解酵素の作用機構の詳細を解明することを目的とする。本年度は、まず、研究の前段階としてATR-FTIRスペクトルのカルボニル伸縮振動ピークの波形解析により、試料の表面組成を決定する方法を確立した。さらに、PHA分解酵素により加水分解が触媒されるポリエステルであるポリヒドロキシブタン酸(PHB)と触媒されないポリエステルであるポリ(ε一カプロラクトン)(PCL)に対するPHA分解酵素の作用を解析した。PHBの場合、PHA分解酵素を加えた緩衝液に浸けることにより、加水分解が進行すると同時に試料表面の結晶化度が大きく低下した。これは加水分解により表面の結晶構造に乱れが生じることによるものと考えられる。一方、PCLの場合、同様の操作により加水分解は進行しないものの、試料表面の結晶化度はわずかに低下した。これは、PHA分解酵素がPHB分解に対する触媒能と同時に、PHB以外のポリエステルの結晶相を融かす機能を持つことを示唆するものである。
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