2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポリシラン/ポリスチレン複合薄膜中のポリシラン微小球を利用した新規発光素子の開発
Project/Area Number |
13750833
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長山 智男 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90304005)
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Keywords | ポリシラ / ポリスチレン / 複合膜 / 微小球 / 発光素子 |
Research Abstract |
平成13年度は、PMPS/PS複合膜におけるポリシラン微小球形成機構の解明を目指し、各ポリマーのトルエン中の溶解状態を光散乱法で解析した結果、PSは比較的溶解しているのに対し、PMPSは糸鞠状となっていることを明らかにし、この両ポリマーのトルエン中での溶解状態の差がポリシラン微小球形成の要因であることを解明した。また、粒径の均一化の指針を示し、溶液への超音波照射効果を検討し、適度な時間での超音波照射は効果的であり、この超音波処理により粒子径を均一化した複合膜では、PMPS微粒子が細密充填構造を形成する部分が観察され、微粒子の均一化により自己組織的な粒子の配列の可能性があることが分かった。さらに複合膜の電荷輸送特性の評価に成功し、微粒子状のPMPS部分のみが伝導パスとなるためであると結論した。 平成14年度は、本研究課題の最終目標である新規な点状発光型電界発光(EL)素子の開発のために、この複合材料を電荷輸送材料とし、キノリノールアルミ錯体を電子輸送層及び発光層とした積層型EL素子を作成し、その性能を評価した。結果、発光強度は通常のホール輸送層を用いた素子の10分の1程度となるものの、面発光の顕微鏡観察により目的とする点状発光を確認することができた。また、その電流密度-輝度特性、つまり発光効率は通常のホール輸送層を用いたものと同様であり、これは、微粒子状のPMPS部分のみを輸送されたホール電荷が発光に寄与している事を示す結果である。しかしながら、発光強度は低く、その放射方向依存性の評価には至らなかった。また、ポリシラン自身の発光を利用したELを目指し、発光効率の比較的高いアルコキシフェニル置換基を有するポリシランを用いた検討を行ったが、置換基構造の変化によりその相分離構造が変化し、微粒子状のポリシランを得られず、ポリシラン自身の点状EL発光は得られなかった。 現在、これらの成果を順次論文にまとめ、投稿しているところである。
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