2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13750836
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 敬二 九州大学, 工学研究院, 助手 (20325509)
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Keywords | 表面分子運動特性 / 光漂白蛍光回復測定装置 / 表面並進拡散 / ポリスチレン |
Research Abstract |
高分子固体表面の分子運動特性は内部と比較して異なっている。これまで、高分子表面におけるセグメントスケールの分子運動性に関しては系統的に検討されているが、分子鎖スケールでの熱運動性に関しては全く検討されていない。本研究では、高分子溶液や単分子膜中のブローブ分子の拡散係数を評価する装置として確立された光漂白蛍光回復測定装置{FRAP)を作製し、高分子膜表面に応用することを目的とする。 光源にArレーザー(I=488nm)、蛍光強度の検出には光電子増倍管を用いた。FRAPでは、顕微鏡の試斜台に設置した試料を、(1)高強度のレーザー光を用いてフォトブリーチし、(2)ブリーチした領域内外の分子鎖の並進拡散により蛍光強度が回復する過程を検出する。ブリーチングとリーディングの光路はビームスブリッタで分割し、光路の切り替えはシャツターでおこなった。リーディングビームは、リーディング中にフォトブリーチが起きないような微弱な光を用いた。試料として、nitrobenzofurazan(NBD)(最大励起波長,lmax=467nm)で蛍光ラベルした単分散ポリスチレン(PS)(数平均分子量、53k)のTHF溶液を用いた。試料の溶液濃度は0.048wt%、温度は291Kとした。 PS-NBD溶液では蛍光強度が時間とともに増加したことから、高分子鎖が拡散したことが明らかである。また、時間0における蛍光強度をF(0)、十分時間が経過し、蛍光強度が一定となったときの値をF(∞)とすると、{F(∞)-F(t)}/{F(∞)-F(0)}=0.5を満たす時間が緩和時間tである。このときの拡散係数Dは、tを用いて、D=0.224・r2・t-1で表される。本実験では、スポット半径r=700mmであり、またtは1400sであったことから、D=78mm2/sと評価できる。この値は、強制レイリー散乱法に基づき評価された分子量46kの0.048wt%PS/THF溶液のD、75±14mm2/s(文献値)と良く一致しており、作製したFRAPを用いて高分子鎖の並進拡散係数の評価が可能であることを示している.今後は、表面層の分子鎖のみを蛍光ラベルした固体試料を用いてFRAP測定をおこない、高分子固体膜表面における分子鎖の絡み合い等について検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] D.Kawaguchi, K.Tanaka, A.Takahara, T.Kajiyama: "Surface Mobile layer of Polystyrene Film below Bulk Glass Transition Temperature"Macromolecules. 34(18). 6164-6166 (2001)
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[Publications] N.Satomi, K.Tanaka, A.Takahara, T.Kajiyama: "Effect of Internal Bulk Phase on Surface Viscoelastic Properties by Scanning Probe Microscopy"Macromolecules. 34(18). 6420-6423 (2001)
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[Publications] N.Satomi, K.Tanaka, A.Takahara, T.Kajiyama: "Surface Molecular Motion of Monodisperse a, w-Diamino-Terminated and a, w-Dicaroxy-Terminated Polystyrenes"Macromolecules. 34(25). 8761-8767 (2001)
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[Publications] K.Kojio, K.Tanaka, A.Takahara, T.Kajiyam: "Novel Method to Prepare Organisilane Monolayers on Solid Substrate"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 74(8). 1397-1401 (2001)
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[Publications] H.-Q.Xiang, K.Tanaka, A.Takahara, T.Kajivama: "Reversible Reduction and Reoxidation of Langmuir-Blodgett Films of Octacyanophtalocyanine Dilithium Complex"Chem. Lett.. 2001(7). 536-537 (2001)
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[Publications] X.Jiang, K.Tanaka, A.Sakai, A.Takahara, T.Kajiyama: "Surface Relaxation Behavior of Proton-and Perfluoroalkyl-terminated Poly(2-vinylpyridine) Films"Polymer. 42. 8959-8964 (2001)
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[Publications] 梶山千里, 田中敬二, 高原淳: "機能材料(高分子固体膜表面における分子鎖熱運動性の制御因子)"シーエムシー出版. (2001)