自己修復機能を有する高信頼性・高耐酸化性C/C複合材料の開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13750845
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 佐野 秀明 長崎大学, 工学部, 助手 (10253634)
• Keywords: 炭素 / セラミックス / 炭素繊維強化 / 複合材料 / 最適作製条件 / 機械的強度 / 自己保護機能 / 自己修復機能

Research Abstract

これまで本申請者は、炭化ホウ素(B_4C)および炭化ケイ素(SiC)を添加した高耐酸化性C/C複合材料を開発してきた。昨年度の研究で、種々の炭素繊維を用い、マトリックス部へのB_4CおよびSiCの添加配合比を変えた自己修復機能を有する高信頼性・高耐酸化性C/C複合材料を作製し、(1)耐酸化性および機械的特性を兼ね備えた複合材料の最適作製条件を探索し、適切な炭素繊維およびB_4CおよびSiCの添加配合比をほぼ確定することができた。本年度の研究では、(2)酸化に対する自己修復機能の発現を確認し、その発現メカニズムを解明し、自己修復機能を有する高信頼性・高耐酸化性C/C複合材料を開発し、研究を総括することを目的とし実験を行った。
1.自己修復機能を有するC/C複合材料の作製 複合材料の機械的特性および破断面組織等を詳しく調べ、複合材料の諸特性を調査した結果、本複合材の自己保護、自己修復機能を具備することが判ったが、その機能発現の程度は、保護成分となるB_4CおよびSiCの添加配合比に大きく依存することがわかった。
2.複合材料の耐酸化性および機械的特性の評価 「1.」で得られた複合材料に対し、熱質量天秤、ガスクロマトグラフ装置およびガス質量分析計(昨年度の申請備品で完成)を用いて高温酸化雰囲気中の酸化挙動を評価した。酸化に伴う質量変化、酸化排ガスの成分変化および酸化後試料の組成変化から複合材料の耐酸化性を総合的に評価した結果、酸化初期にCOやCO_2ガスの発生を伴う炭素成分の酸化が顕著であり、ナノサイズのSiCの添加が自己保護機能ならびに自己修復機能発現に効果的であった。研究の総括として、自己修復機能を有する高信頼性・高耐酸化性C/C複合材料の最適作製条件は、B_4CおよびSiCの添加配合比やSiCの粒径に強く依存することが判り、したがって、自己修復機能を効果的に発現させるには、更なる組成比の改良や組織制御が必要であることが示唆された。

Research Products

• [Publications] H.Sano, T.Uno, Y.Uchiyama: "Oxidation Behaviors of C/B_4C/SiC Ternary Composite and Its Self-healing Property, An International Conference on Carbon"CARBON'01, American Carbon Society. 30.2. 1-3 (2001)
• [Publications] Y.Uchiyama, H.Sano: "Self-healing in Carbon-ceramics Alloy"VII International Conference on Advanced Material, ICAM 2001. 311 (2001)
• [Publications] Y.Uchiyama, H.Sano: "Self-Healing and Self-Protection in C-B_4C-SiC Composite"Proceedings of The 7th Joint Symposium of Nagasaki Univ. and Cheju Univ. on Science and Technology. 197-200 (2001)
• [Publications] 佐野秀明, 内山休男: "炭素材料の酸化特性"炭素. Vol.2002, No.203. 141-149 (2002)