2001 Fiscal Year Annual Research Report
里地自然の保全を意図したサシバの生息可能性地域の解析と土地利用計画への応用
Project/Area Number |
13760016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
東 淳樹 岩手大学, 農学部, 助手 (10322968)
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Keywords | サシバ / 谷津 / GIS / バッファ / 50mDEM |
Research Abstract |
国土地理院刊行の50mメッシュ標高データおよび,環境庁自然保護局刊行の自然環境情報GISに含まれる現存植生データを用い,千葉県印旛沼流域におけるサシバの生息可能性地域解析に関する試みを行なった.繁殖期のサシバの生息環境の特徴を把握するために,サシバの生息に関する既往研究にもとづき,谷津の特徴を数量的に示す複数の指標を設定した.サシバの行動圏を表現するために,生息確認地点ごとに周囲にバッファを発生させ,その中に含まれる谷の断面方向の特徴を面的に集計した.集計結果を,サシバ生息確認地点および生息確認のない地点それぞれの位置座標に対応したデータベースにまとめ,両者の特徴を比較した.サシバの生息確認の有無を被説明変数とし,谷津の土地環境条件に関する6指標を説明変数として,ステップワイズ法による正順判別分析をおこなった.すべてのバッファ半径における集計において有為となった指標は,谷の横断方向への土地利用配列であった.バッファ半径ごとの判別結果は76.6〜79.3%となった.一方,土地利用配列を除いて同様の判別分析を行うと,水田樹林地隣接長のみが選択され,判別率は61.9〜71.9%となった.以上より,サシバの生息環境は個別指標ごとにみると地形や土地利用に関する複数の指標に差が見られるものの,全指標をもちいた判別分析より,とくに両側が斜面林で谷底が水田となる土地利用配列となるセル数によって約7〜8割の判別が可能であることが示された.土地利用配列について,サシバの生息地とそれ以外の地点では,樹林地-水田-樹林地となる配列数には有意な差がみられたことから,同土地利用配列数が多いほどサシバが生息しやすいことが確認された.
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