2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナスの細胞質雄性不稔系統への単為結果性の導入に関する研究
Project/Area Number |
13760025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
一色 司郎 佐賀大学, 農学部, 助教授 (40253588)
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Keywords | ナス / 一代雑種 / 雄性不稔 / 単為結果性 / 採種 / Solanum violaceum / 細胞質 / 蕚片肥大果 |
Research Abstract |
ナスは主要品種の多くが一代雑種であるので、雄性不稔の利用は品種育成に多大な貢献をする。申請者は、これまでに、近縁野生種Solanum violaceum Ort.(Solanum indicum auct. non L.)の細胞質を持つナスの雄性不稔系統の育成に成功したが、この系統は細胞質雄性不稔系統であるため、これを種子親として作出されるF_1も雄性不稔となり無授粉では結果しない。本研究の目的は、この細胞質雄性不稔系統を利用したナスのF_1品種の採種の実用化を図るため、細胞質雄性不稔系統と単為結果性品種との交雑後代の遺伝分析を行い、ナスの細胞質雄性不稔系統に単為結果性を導入し、無授粉でも結果できるようにすることである。 本年度は、申請者が育成した細胞質雄性不稔系統に単為結果性を持つヨーロッパの品種'ミレダ'の花粉を授粉して作出したF_1の3系統を供試材料として、細胞質の遺伝様式を確認するとともに単為結果性の発現の様相を調査した。 まず、クロロプラストDNAおよびミトコンドリアDNAのRFLP分析を行った結果、供試したF_1がS. violaceumの細胞質を持つことが確認された。 次に、F_1の各系統の各11花について、開花前に除雄した後、袋かけを行い、約2ヶ月後に単為結果した果実の数を調査した。調査した3系統のうち、2系統においてそれぞれ11花中2花及び3花が萼片肥大果となったが、正常に肥大した果実は全く認められなかった。この結果から、'ミレダ'の有する単為結果性が複数の遺伝子によって支配されている可能性があることがわかった。従って、雄性不稔系統への単為結果性の導入の可能性を明らかにするためには、F_2を作出し調査する必要があると考えられる。 なお、F_1の自殖によって、次年度に調査するためのF_2種子を得た。
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