Research Abstract |
本研究では,造園・緑化に用いることのできる新たな植物材料の生産や,自然保護地域における保護のために,日本産ユリ科植物の繁殖習性,特に種子発芽習性について明らかにする実験を行った。 本年は特に,今まで続けてきたギボウシ,ゼンテイカ,ウバユリ,サルトリイバラに加えてカタクリ,アオヤギソウ,ハマカンゾウを実験対象種として選び,発芽所用期間(結実から発芽までの時間)や,種子の休眠(後熟性,発芽阻害物質の有無,硬実),地上子葉・地下子葉の別等の種子発芽習性について求めた。 その結果,発芽所用期間について,ウバユリ,カタクリ,サルトリイバラは約1年,アオヤギソウは1〜2ヶ月,ギボウシ,ゼンテイカ,ハマカンゾウは半年であることがわかった。また,(1)ゼンテイカ,ハマカンゾウは種子後熟性があり,しかもその後熟性がすすんだあとの発芽温度条件がゼンテイカは低温(10℃),ハマカンゾウは高温(25℃)内外であること,(2)ギボウシ種子は,極端な乾燥や湿潤条件で発芽力を失うこと,(3)ゼンテイカ種子は乾燥によって発芽力を失うこと等が,発芽実験や胚と胚乳の発達の様子の観察によってわかった。
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