2001 Fiscal Year Annual Research Report
酵母を用いた小胞体―ミトコンドリア間の脂質輸送機構の解析
Project/Area Number |
13760059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 良一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50323481)
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Keywords | Saccharomyces cerevisiae / リン脂質 / 輸送 / 小胞体 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本研究では、酵母を材料として細胞内における小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送機構の解析を行った。まずミトコンドリアと相互作用している小胞体の一部(Mitochondrial Associated Membrane, MAM)の単離と解析、更にはin vitroでの小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送の再構成系の構築を目的として、ミトコンドリア外膜タンパク質、Tom70のN末端60アミノ酸とβ-galactosidaseとの融合タンパク質を発現させた酵母より、抗β-galactosidase抗体を用いて、ミトコンドリアを簡便かつ大量に精製、固定化することを試みた。種々の条件について検討を行ったが、この方法でミトコンドリアを精製することはできなかった。次に、小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送に関与する遺伝子産物を同定するため、約5,000株の酵母遺伝子破壊株のcollectionに対して、小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送に欠損を持つ破壊株の網羅的探索を行った。ミトコンドリアのPE合成酵素、PSD1を破壊した株は、ミトコンドリアの機能に欠損を持ち乳酸等の非発酵性炭素源を資化できなくなることが知られている。このことから、PEはミトコンドリアの機能に必須であり、従ってミトコンドリアの機能に欠損を持つ変異株又は遺伝子破壊株にはミトコンドリアへの脂質の輸送に欠損を持つ株も含まれる可能性がが考えられる。そこで、5,000株の遺伝子破壊株について、乳酸を資化できない株を探索し、350株を得た。このうち75株について全リン脂質を調製してリン脂質組成をHPLCにより検討し、細胞内PE量が有為に減少した株を23株得た。更にこの23株中7株について、ミトコンドリア画分を単離し、リン脂質組成について検討したところ、これら7株全てにおいてPEの顕著な減少が認められた。これらの破壊株において破壊されている遺伝子の産物には、小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送に関与しているものが含まれる可能性が考えられる。今後、これらの破壊株について小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送の検討を行い、遺伝子産物の機能について解析を行うことにより、小胞体-ミトコンドリア間の脂質輸送の機構に関する知見が得られると期待される。
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