2001 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の脂肪酸不飽和化酵素の構造特性とその生成物質の作用機構の解明
Project/Area Number |
13760061
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶原 将 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (10272668)
|
Keywords | 酵母 / 脂肪酸 / 基質特異性 / エタノール耐性 |
Research Abstract |
酵母のアシル-CoA不飽和化酵素OLE1は、炭素鎖長16のパルミトイル-CoA(16:0)を優先的に基質として用いるものと鎖長18のステアリル-CoA(18:0)を優先的に基質として用いるもの、そして基質優先性が認められないものとの3つのサブファミリーに大別されることがわかってきた。しかし、これらサブファミリー酵素間の一次構造は比較的類似しているものの基質優先性を決定するドメイン或いはアミノ酸については全く明らかにされていない。また、この酵素によって合成される不飽和脂肪酸が酵母のエタノール耐性に何らかの役割を果たしていることが知られている。そこで本研究では、1)酵母のΔ9-アシルCoA不飽和化酵素の基質優先性を蛋白質工学的に解析することと2)生成物質である不飽和脂肪酸によってもたらされるエタノール耐性機構を明らかにすることを目的とした。1)では、S.Kluyveri のSk-OLE1遺伝子(基質優先性が認められない酵素の遺伝子)とS.cerevisiaeのSc-OLE1遺伝子(16:0の基質優先性を示す酵素の遺伝子)を用い、様々なキメラ蛋白質を発現させて解析した。その結果、Sk-OLE1酵素の119番目のアミノ酸残基から250番目のアミノ酸残基の間で基質優先性に関与する領域があることがわかった。現在、この領域内で基質優先性を左右するアミノ酸残基を決定すべく、詳細な解析を行っている。2)については、Sc-OLE1高発現株のcAMP含量、アデニレートシクラーゼ活性などの測定を行い野生株と比較したが、これらの値に差はみられなかった。続いて、不飽和脂肪酸合成への関与が示唆されているACB1遺伝子の破壊株を作出し、その株のエタノール耐性を分析したところ、エタノール耐性が減少する傾向が見られ、ACB1遺伝子も酵母のエタノール耐性に何らかの役割を果たしていることが示唆された。
|