2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸/ヘパリン・脱N-アセチル/N-硫酸転移酵素の構造と機能の解析
Project/Area Number |
13760077
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
相川 順一 理化学研究所, 細胞生化学研究室, 先任研究員 (10260192)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / ヘパリン / N-硫酸転移酵素 / 脱N-アセチル酵素 |
Research Abstract |
1.N-硫酸転移酵素ドメインの生産と解析 前年度に得られたマウス・脱N-アセチル/N-硫酸転移酵素(NDST)1のN-硫酸転移酵素ドメインはヘパリンと高い親和性を示すものの、N-硫酸を含まないヘパロサンへの親和性はそれより低下していることが、表面プラズモン共鳴によって明らかになった。引き続き、ハエおよび線虫のN-硫酸転移酵素ドメインの大腸菌における発現系の構築を行ったが、マウスNDSTの生産量に比べ、ハエでは1/2、線虫では1/10に低下していた。アミノ酸コドンの片寄りが原因の一つと考えられたため、特定のtRNAが増強された大腸菌を宿主として生産を試みたが、相互作用を解析するのに必要な量は得られなかった。 2.局在性解析を目指したマウス・NDSTの安定発現細胞の樹立 前年度までに、FLAGのタグをC末につけた形のマウス・NDST各アイソザイムの発現をCHO-K1細胞変異株において試みたが、樹立した細胞間では各アイソザイムの発現が不均一であった。そこで、外来遺伝子を染色体の特定の部位に挿入でき、なおかつその発現を薬剤(テトラサイクリン等)によって制御できる系の利用を試みた。HEK293細胞で樹立した各アイソザイムのクローンでは、その発現が薬剤依存的であったが、アイソザイムの発現は、相対的にNDST1、2で高く、NDST3、4で低かった。現在、アイソザイムの発現量を揃えるため、濃度依存的な発現が誘導可能な薬剤(ドキシサイクリン)を用いた実験を行っている。 3.脱N-アセチル酵素ドメインの構造と機能の解析 キチン・脱N-アセチル酵素など他の脱N-アセチル酵素とのアミノ酸配列の相同性を利用して、ヒトNDST3の脱N-アセチル化反応に関わるアミノ酸残基の同定を行うため、10ケ所の部位の特異的変異を行った。既に、発現可能な形に構築し終えており、現在発現細胞の樹立を行っている。
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