2001 Fiscal Year Annual Research Report
ショ糖脂肪酸エステルを用いたマイクロエマルションに関する研究
Project/Area Number |
13760101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助手 (80313469)
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Keywords | ショ糖ラウリン酸エステル / 脂肪酸トリグリセリド / ミセル / 液晶 / マイクロエマルション / 可溶化 / 可溶化部位 / 相転移 |
Research Abstract |
ショ糖ラウリン酸エステルの10質量%水溶液への脂肪酸トリグリセリドの可溶化量を調べた。用いた脂肪酸トリグリセリドはトリス(2-エチルヘキサン酸)グリセリド(C8TG)およびトリス(ブタン酸)グリセリド(C4TG)である。C8TGを少量添加するとラメラ液晶を含む2相領域に転移した。通常の炭化水素の場合はミセル中心部へ多く可溶化されるが、脂肪酸トリグリセリドの場合はグリセリル基の存在により、水-炭化水素界面の近傍(パリセード層)に可溶化されると考えられる。このとき、ミセル中の界面活性剤の親油基の有効体積が増加したことと等価となるため、界面活性剤膜の自発的曲率は小さくなる。そのため、自発的曲率の大きいミセルから自発的曲率の小さいラメラ液晶への転移が起こると考えられる。さらにC8TGの添加量が増すとマイクロエマルション相へ転移した。油の界面活性剤自己組織体中への可溶化は最初にパリセード層へ可溶化される割合が多く、パリセード層への可溶化が飽和すると自己組織体内部へ可溶化される。C8TGのパリセード層への可溶化によりラメラ液晶へ転移した後、C8TGはラメラ液晶の2分子膜の層間へ可溶化され、2分子膜の層間距離が増すと膜の秩序度が低下し、マイクロエマルションヘ転移すると考えられる。C4TGを少量添加した場合もミセル水溶液相から液晶を含む2相領域に転移し、添加量が増すとマイクロエマルション相に転移した。親油性のショ糖ラウリン酸エステルを混合させるとミセル水溶液から液晶を含む2相への相転移限界は減少した。これは親油性のショ糖ラウリン酸エステルは親水性のものより界面活性剤膜中での炭化水素鎖の充填が密になり、界面活性剤分子の配向秩序度が増したためであると考えられる。
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