2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化初期反応生成物によるアミノリン脂質修飾機構の解明
Project/Area Number |
13760106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 陽二 姫路工業大学, 環境人間学部, 助手 (30305693)
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Keywords | ヘキサノイルエタノールアミン / 酸化ストレス / 活性酸素 / 脂質ヒドロペルオキシド |
Research Abstract |
1.脂質ヒドロペルオキシドはリン脂質のエタノールアミンの部分と反応して「ヘキサノイルエタノールアミン(HEEA)」を生成すると推測し、その生成について検討を行った。 2.無水ヘキサン酸とエタノールアミンを反応させて、標品HEEAを調製した。また、フォスファチジルエタノールアミン(PE)を無水ヘキサン酸と反応させ、N-ヘキサノイルフォスファチジルエタノールアミン(NHPE)の合成を行った。HEEAは逆相HPLCにより、NHPEはTLCにより精製した。 3.NHPEを簡便に検出するため、抗NHPE抗体の作製を検討した。脂質抗原であることから、サルモネラ・ミネソタ菌体をキャリアーとした免疫源を用い、これをマウス脾臓に直接免疫してモノクローナル抗体の作製を検討した。陽性ハイブリドーマが1株得られ、抗体のタイプはlgMであることがわかった。現在、特異性解析などを行っている。 4.NHPEは脂肪酸側鎮の種類にバリエーションがあるため、化学的に単一な分子種として検出定量することは困難である。そこで部分構造であるHEEAに若目し、この化学的な定量法について検討を行った。四重極型のHPLC-MS/MSにより合成HEEAを分析したところ、160.2/62のMS/MSフラグメントが検出され、0.1ng/mlという低濃度でも充分に測定できることがわかった。今後は、生体からの微量検出を試みる予定である。 5.NHPE生成による生体への影響を調べるため、培養細胞(HL60)を用い、NHPE投与によるアポトーシス誘導能(コメットアッセイ)に着目して検討した。数十mMという高浪度では、PEに比べてアポトーシス誘導能がある可能性が予備的な検討により認められたが、生体レベルで存在すると推測されるNHPEの濃度を考えるとN-ヘキサノイル体にはアポトーシス誘導能が無いと考えられた。
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