2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
亀山 統一 琉球大学, 農学部, 助手 (30264477)
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Keywords | マングローブ / メヒルギ / 琉球列島 / Cryphonectria / 枝枯病 |
Research Abstract |
琉球列島のマングローブにおいて広く認められるメヒルギの衰退現象に関与する因子を検討するため、個体の衰退の初期症状と考えられる、シュートへの付傷とシュート組織の壊死について検討した。九州本土から、種子島、奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島にいたる地域のメヒルギ林で実態調査を行い、病徴進展に関わる因子を検討した。Shoot diebackを起こしている枝について、壊死部には小動物の食害・穿孔痕が広く認められたが、傷痍部が認められない個体も多数あった。また、それらの頻度と林分の衰退の進行程度との間には、明瞭な関係はなかった。シュートの壊死要囚として、昆虫、貝類などの加害や、植物病原菌類の関与など、多様な生物の関与が推測された。また衰退の進んだ集団が林縁部に多く、かつ、大潮の満潮時の水位よりも高い位置にある枝が強い影響を受けていることから、風などの機械的付傷要因の関与も強く推測される。一方、メヒルギ林衰退は、枝枯症状による林冠の退廃と種子生産の劇的な低下によるものであり、その主因は、常にCryphonectria liukiuensisであった。そこで、多様な因子によってまず若いシュートが壊死し、そこからC.liukiuensisが侵入・発病して枝枯症状に至るプロセスを経るものと考えられた。初期病徴としてのShoot diebackを引き起こす植物病原菌としては、C.liukiuensis自身の関与も観察されたが、ほかに患部からPestalotiopsis sp.など数種の菌株が分離されており、病原性の検討が進められている。また、C.liukiuensisによる枝枯病を促進する誘因として、環境ストレス因子の探索を行った結果、泥質の表土が侵食されている場所に生える個体において罹病が進行していた。
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