2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760124
|
Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
柴田 勝 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (30300560)
|
Keywords | 樹木 / 環境適応 / 環境ストレス / α-カロチン / β-カロチン / 葉緑体 / 光阻害 / カロチノイド |
Research Abstract |
a-Car(a-carotene)の存在するクロロフィルタンパク質複合体の特定とその複合体でのカロテノイド組成を調べるために、チラコイド膜内のタンパク質複合体をmild SDS-PAGEにより反応中心IとLHC-Iの結合したCPIa,反応中心I(CPI),反応中心II(CPa),LHC-IIのオリゴマーのLHCP1,LHCP2,LHCP3およびフリーピグメント(FP)の6本のグリーンバンドに分離し、色素分析を行った。その結果、a+b-Carに対するb-Car比率は0.54±0.02であり、葉内のb-Car比率はチラコイド膜の比率を反映していた。また、チラコイド膜内の色素タンパク質複合体でのb-Carの比率は0.54±0.03であり、全てのタンパク質複合体ではほぼ等しい値を示しており、a-CarンはRCに同程度の割合で広く分布していた。 次に、季節的なCar組成変化がどの様な環境要因により影響されるかを明らかにするために、モミおよびカキノキ葉の日陰処理を行い、光強度によるCar中のa-Car比率の変化を調べた結果、a-Carは生育光強度が弱いほど葉内に蓄積されやすくなっていた。次に、生育温度がa-Car含量に与える影響を調べるためにモミの生育温度を変化させ、各温度時の葉片に含まれるCar中のa-Car比率を測定した。生育温度の上昇と共にa-Carは増加したが、30℃以上では逆にa-Carは減少した。これらのことから、夏季のa-Carの増加は生育温度の上昇によるものであると考えられる。a-Car含量は弱光で蓄積されやすいことから、夏季のa-Carは減少しなければならない。'しかし、夏季に北方系樹木のa-Carが蓄積されやすい傾向にあることから、a-Carは陰葉(陰樹)または冷涼な環境に適応した樹木が急激な光環境の変化による光阻害を回避するために働いているのではないかと考えられる。
|