2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70261956)
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Keywords | 粘液胞子虫 / 微胞子虫 / 原虫 / トラフグ / 超寄生 |
Research Abstract |
トラフグ腸管上皮組織に寄生する3種の粘液胞子虫とそれらに超寄生する微胞子虫について、以下のようにin vivoとin vitroの実験系で寄生体の発育動態を調べた。 1.トラフグを用いたin vivo感染実験:上記寄生虫に自然感染した養殖トラフクから腸管患部を採取し、未感染トラフグに経口投与する方法で人為感染実験を行った結果、Myxidium fuguとMyxidium sp. TPについては容易に感染が成立したが、Leptotheca fuguは感染しなかった。また、M. fuguは速やかに(1週間以内に)寄生を成立させ腸管全体に感染を広げたが、Myxidium sp. TPは腸管後部まで達するのに約1ヶ月間かかった。また、Myxidium sp. TPは20℃以上で発育し15℃では潜伏感染の状態にあること、腸管上皮組織が崩壊してトラフグが「やせ」症状を呈するのに20℃では6週間かかることなど、寄生体の発育動態および病理変化の経時的特徴が明らかとなった。M.fuguに超寄生する微胞子虫は、感染源のM. fuguにも実験感染したM. fuguにも同程度に検出され経時的に発育・増殖する様子がみられなかったことから、いったんM. fuguから外に出て新たに感染したのではなく、もともと超寄生していたままM. fuguとともにトラフグを平行移動したものと思われる。この結果より、微胞子虫の超寄生はM. fuguの感染性に影響を与えないことが示唆された。 2.粘液胞子虫栄養体のin vitro実験:自然感染トラフグの腸管から回収したM. fugu栄養体を粗精製し、リン酸緩衝液または人工海水に懸濁した状態で蛍光色素DAPIとPIで生体染色した。その結果、蛍光顕微鏡下で栄養体内に複数存在する核が明瞭に確認でき、その形態的特徴から魚の細胞と区別が可能であった。また、PIにより死細胞は赤い蛍光を発することから、M. fugu栄養体の生死判定も可能になった。
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