2001 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻の機能性ポリフェノールである高分子フロロタンニンの精密構造解析法の確立
Project/Area Number |
13760150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 秀幸 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (40234570)
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Keywords | 褐藻 / フロロタンニン / 構造解析 |
Research Abstract |
褐藻に含まれる機能性分子であるフロロタンニンは、フロログルシノールが酸化的フェノールカップリングしている構造を特徴とするポリマー分子である。本年度は高分子フロロタンニンの精密構造解析法の確立を目指して、(1)海藻からフロロタンニンの効率的抽出・精製、(2)フロロタンニンの分子量測定、(3)遊離フェノール性ヒドロキシル基の定量、(4)高分子フロロタンニンの低分子化の検討を行う予定にした。 本年度の成果は以下のとおりである。(1)フロロタンニンの抽出には、採集・乾燥後に、チップ状に粉砕して真空包装した試料を用いた。本試料から、これまで検討したなかで最も抽出効率の良かったメタノール:水=6:4(v/v)の溶媒で、フロロタンニンの抽出を数度にわたって検討した。しかし、フロロタンニンはごく少量しか抽出されなかった。この理由は、乾燥粉末化後に真空包装した試料では、フロロタンニンの重合化や共存タンパク質や多糖類との非可逆的な吸着が促進したため、抽出ができなかったと予想される。来年度は再度効率良くフロロタンニンを抽出するための条件を確立したいと考える。(2)本年度の抽出で得られた水溶性フロロタンニンを使用して分子量の検討を行った。分子間相互作用を最小限にするためにフェノール性ヒドロキシル基の保護を検討した。加熱条件下で行った無水酢酸・ピリジン法によるアセチル化では、フロロタンニンとは異なる生成物を得ることができたが、濃い褐色に着色しており、生成物の分離精製が困難だった。硫酸ジメチル-水酸化ナトリウム法によるメチル化では、部分的なメチル化で終り、完全にメチル化を行うことができなかった。フロロタンニンの誘導体の調製は来年度さらに検討を要する。(3)および(4)は、(1)および(2)の検討が予定よりも遅れたため、来年度の研究計画に組み入れる。
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