2001 Fiscal Year Annual Research Report
海藻用発現ベクターの開発とそれを利用した海藻ゲノムへの外来遺伝子導入
Project/Area Number |
13760155
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柿沼 誠 三重大学, 生物資源学部, 講師 (60303757)
|
Keywords | 海藻 / 緑藻 / 不稔性アオサ / プロモーター / 発現ベクター / 遺伝子導入 / アクチン / リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ |
Research Abstract |
高等陸上植物では,細胞内に導入した外来遺伝子の発現にβ-アクチン,リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ・スモールサブユニット(RbcS)などのプロモーターが利用されている。本研究では,海藻用発現ベクターのプロモーターとして緑藻不稔性アオサのβ-アクチンおよびRbcS遺伝子に着目し,各遺伝子の5'側および3'側非翻訳領域を含むゲノムDNAの単離を行った。 既に申請者は,不稔性アオサβ-アクチンのcDNAクローンを単離している。そこで,まず始めに不稔性アオサcDNAライブラリーからRbcSをコードするcDNAクローンを単離した。β-アクチンおよびRbcSをコードするcDNAをプローブとしたノーザンブロット解析により,明期12時間,暗期12時間の光周期で培養した不稔性アオサにおける両遺伝子の発現量は,光同期に依存して大きく変化することを明らかにした。 次に,β-アクチンおよびRbcSをコードするゲノムDNAを単離するために,制限酵素処理で断片化したゲノムDNAの両端にクロンテック社製キットを用いて付属のアダプターを付加し,不稔牲アオサのゲノムライブラリーを構築した。これを鋳型として,β-アクチンおよびRbcSのcDNA塩基配列を参考に作製したプライマーおよび付加アダプターに相補的なプライマーを用いたPCRを行い,増幅DNA断片の塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報を基に新たなプライマーを作製し,ゲノムDNAの上流または下流へPCRによるウォーキングを繰り返し行い,β-アクチンをコードする約12kbpのゲノムDNA,RbcSをコードする約8kbpおよび11kbpの2種類のゲノムDNAの塩基配列を決定した。各遺伝子の構造解析により,不稔性アオサのβ-アクチンおよびRbcS遺伝子はそれぞれ,5および4つのエキソンで構成されていることが明らかとなった。 今後は,β-アクチンおよびRbcS遺伝子の5'側および3'側非翻訳領域をそれぞれ,Green Fluorescent Protein(GFP)レポーター遺伝子の上流および下流に挿入した発現ベクターを構築して不稔性アオサに導入し,海藻用発現ベクターに有効なプロモーターおよびターミネーター領域を決定する予定である。
|