2002 Fiscal Year Annual Research Report
海藻用発現ベクターの開発とそれを利用した海藻ゲノムへの外来遺伝子導入
Project/Area Number |
13760155
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柿沼 誠 三重大学, 生物資源学部, 講師 (60303757)
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Keywords | 海藻 / 緑藻 / 不稔性アオサ / 発現ベクター / 遺伝子導入 / アクチン / 形質転換 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに,不稔性アオサのアクチン遺伝子の全長を含む約12kbpのゲノムDNAの塩基配列解析により,アクチン遺伝子が5つのエクソンと4つのイントロンで構成されていること,翻訳開始および終結コドンがそれぞれ,第2および第5エクソンに存在すること,TATAボックスが転写開始点から30bp上流に,polyA付加配列が終結コドンから100bp下流に位置すること,等を明らかにしている。 そこで,終結コドンから3'側約1.5kbpのDNA断片を,クロンテック社製プラスミドベクターpEGFPに含まれるGreen Fluorescent Protein(GFP)レポーター遺伝子の下流に挿入し,pEGFP-ACTを作製した。次いで,第1エクソンからプロモーター領域を含む5'側約1.2kbpのDNA断片,或いは第2エクソンの開始コドンからプロモーター領域を含む5'側約1.4kbpのDNA断片を各々pEGFP-ACTレポーター遺伝子の上流に挿入し,2種類の発現ベクターpEGFP-PSACTおよびpEGFP-PLACTを構築した。 次に,構築した2種類の発現ベクターをバイオラッド社製PDS-1000/He Particle Delivery Systemを用いて種々の条件で不稔性アオサ細胞内に導入した。その結果,発現ベクターを直径1.0μmの金製マイクロキャリアにコーティングし,ヘリウム圧1300又は1550psi,サンプル距離6cmの条件で導入した場合に,細胞内に多数のマイクロキャリアが観察された。さらに,導入24時間後の細胞を蛍光顕微鏡を用いて観察したところ,いずれの発現ベクターを導入した場合でも,GFP由来の蛍光を発する細胞が数個確認された。また,GFP由来の蛍光強度の比較により,pEGFP-PSACTが細胞内でより強い発現性を示すことを明らかにした。 今後は,より高効率で安定した形質転換体を得るための導入方法を確立すると共に,Luciferaseレポーター遺伝子を利用したプロモーター活性の測定により,導入外来遺伝子の発現に最適なプロモーター及びpolyA付加シグナル配列を決定する予定である。
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