2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760184
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
木村 玲二 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 講師 (80315457)
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Keywords | 亜熱帯 / さとうきび / 熱収支 / 水収支 / 微気象観測 / 蒸発散量 |
Research Abstract |
亜熱帯植生地における大気-陸面間のエネルギー輸送の定量的解明およびさとうきび栽培における水利用計画の際に必要な蒸発散量推定モデルの構築を目的に,宮古島の夏植えさとうきび圃場において2001年10月から2003年3月まで微気象観測を行った.観測値を用い,ボーエン比法および傾度法により顕熱フラックスと潜熱フラックスを算出した. 10月から3月にかけての冬期間の正味放射量は100〜40Wm^<-2>で推移し,そのうち顕熱フラックスは20〜0Wm^<-2>で,正味放射量の大部分が潜熱フラックスに消費されていた.この期間の日蒸発散量は2mmday^<-1>程度であった.6月から10月にかけての夏季の生長期では,正味放射量は200Wm^<-2>から100Wm^<-2>で推移し,そのうち顕熱フラックスおよび潜熱フラックスは100〜50Wm^<-2>であった.この期間の日蒸発散量は5〜2mmday^<-1>で推移しており,冬季にかけて徐々に減少した.蒸発散量は夏季期間でも最大5mmday^<-1>程度であり,亜熱帯と言えどもそれほど大きくないことがわかった.このことは,さとうきびがC4植物に特徴的な水利用効率を持している事を示唆しており,研究代表者による夏季のソルガム圃場での蒸発散量の結果にほぼ一致していることが明らかになった. 実蒸発散量を気候条件のみによって決まるポテンシャル蒸発散量で除することにより,さとうきびの熱収支に対する生理特性を調べた.さとうきびの蒸発散量は主に日射量,風速,土壌水分に影響されることが理解できた.そこで,生理特性をこれらの因子で関数化し,日蒸発散量のシミュレーションを行った.観測値と計算値の差の標準偏差は0.56mmday^<-1>であり,熱収支観測の誤差の範囲内で推定することができた.今後は気象台の気象観測値を用いることで,本蒸発散量推定モデルが畑地の水利用計画に役立つことが示唆された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 木村 玲二: "赤外線放射温度計による地表面温度と熱収支モデル計算による地表面温度の比較"天気. 48. 371-382 (2001)
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[Publications] 木村 玲二: "沖縄本島における気候の特徴と人工的因子が各地の気温に及ぼす影響について"農業気象. 57. 193-200 (2001)
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[Publications] 下瀬 龍: "沖縄本島都市域における熱収支の季節変化"水文水資源学会誌. 15. 51-59 (2002)