2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブロイラーの脂肪酸動員とケトン体生成に対するリポ酸の作用に関する研究
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13760202
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
濱野 美夫 秋田県立大学短期大学部, 生物生産学科, 助教授 (10289746)
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Keywords | リポ酸 / ブロイラー / ケトン体 / 遊離脂肪酸 / 中性脂肪 / エネルギー給与水準 / 飼料効率 |
Research Abstract |
平成13年度:ビタミン様作用因子のリポ酸はその投与量を増やすとブロイラーの中性脂肪と遊離脂肪酸の血中成分を共に増加させる。そこで、脂質代謝に及ぼすリポ酸の作用機序を明らかにするため、絶食によって脂肪酸動員を高めたブロイラーにリポ酸の注入実験をおこなった。その結果から、リポ酸は血中遊離脂肪酸を増加させ、これと同時に採食時の約7倍にまで高まった絶食時の血中ケトン体濃度(脂肪酸代謝産物)を著しく低下させることが明かになった。次いで、リポ酸注入に対する脂肪組織の脂肪分解反応を微量透析法で分析したが、その脂肪分解能に変化はみられなかった。 平成14年度:前年度の実験により、リポ酸は飼料エネルギーの利用にも影響を及ぼすものと考え、至適(3100kcalME/kg)または低エネルギー(2600kcalME/kg)飼料を給与したブロイラーの成長に対するリポ酸の影響を検討した。この実験ではエネルギー給与水準の影響が顕著にでるよう飼育温度を21±2℃と低く設定した。リポ酸による増体量の変化は至適エネルギーを与えたときに示されなかったが、低エネルギー区の増体量はリポ酸の投与で有意に低下した。また、リポ酸投与区の飼料摂取量はエネルギー水準に関係なく減少したものの、飼料効率を有意に高めるリポ酸の作用が至適エネルギー区において認められた。血中成分や肝臓の酸素消費量等の分析では、このリポ酸とエネルギー水準との相互関係を説明できる結果は得られなかった。 以上の結果から、リポ酸は肝臓の脂肪酸酸化を抑制することで血中遊離脂肪酸の増加と脂肪酸の再エステル化をもたらすものと結論づけられた。またケトン体生成を抑制するリポ酸の作用はケトーシスの予防・軽減への利用が可能と考えられることと、エネルギーの給与水準と飼育温度を考慮すれば飼料効率の改善、代謝調節に応用できるものと示唆された。
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