2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 知己 東京農工大学, 農学部, 助手 (20272643)
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Keywords | 栄養 / 繁殖 / グルコース / インスリン / レプチン / 遊離脂肪酸 / 卵巣静止 / ヤギ |
Research Abstract |
脂肪代謝とグルコース代謝および繁殖機能との関係を明らかにすることを目的とした。正常な発情周期を回帰しているシバヤギに低栄養条件を負荷し、超音波画像診断装置を用いて卵巣の変化を観察するとともに、CIDRにより誘起された卵胞期における黄体形成ホルモン(LH)や卵巣ステロイドホルモンの変化を観察した。また連日採血して、血中グルコース、インスリン、遊離脂肪酸およびレプチン濃度を測定した。低栄養負荷群では体重、体格指数ともに有意に減少した。普段給餌群ではCIDR処置後良好なLHのパルス分泌が観察され、すべての例で排卵が観察されたが、低栄養条件を負荷された群ではCIDR処置後顕著なLHのパルス分泌頻度の低下がみられ、すべての例で排卵が抑制された。血中インスリン濃度は、低栄養負荷群では対照群に比べて有意に減少したが、血中グルコースおよびレプチン濃度には両群間で有意な差は見られなかった。血中遊離脂肪酸濃度は低栄養負荷群において負荷開始後一旦急激に上昇するものの、その後徐々に低下し、排卵が抑制された時点においては基底レベルにまで減少した。以上の結果から、低栄養による繁殖機能の低下は卵胞期におけるLHのパルス状分泌の低下が引き金となり、結果として排卵が抑制されることによることが主要な原因であることが示された。また、グルコースおよびレプチンの血中濃度の変化はLHパルスの抑制にあまり関与していないことが示され、むしろ血中インスリンおよび遊離脂肪酸濃度の変化が強く関与している可能性が示された。血中インスリンおよび遊離脂肪酸はそれぞれ独自にグルコース代謝および脂肪代謝を介して体内にエネルギーを供給しており、これらの代謝調節因子によって制御されるエネルギー供給機構が両方同時に低下することにより低栄養による発情周期の停止が引き起こされているものと推測された。
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