2002 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物における上皮増殖因子の分泌と胃内動態の研究
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13760211
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
翁長 武紀 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (90224261)
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Keywords | 上皮増殖因子 / EGF / ヒツジ / 反芻動物 / 唾液腺 / 分泌動態 / 胃内濃度 / 日内変動 |
Research Abstract |
昨年度はヒツジのEGF量を測定するラジオレセプターアッセイ(RRA)を確立して、ヒツジの唾液腺におけるEGFの分布と組織含量を調べ、およびEGF活性物質の部分精製を行ったが、今年度はEGFの唾液中の分泌動態および胃内動態を検討した。方法として、手術によりヒツジの耳下腺管に挿管した後、無麻酔下において耳下腺から分泌された唾液を採取してRRAにより分泌動態を調べ、集めた唾液を低圧液体クロマトグラフィーおよびHPLCにより分析して下記の結果を得た。1)唾液腺から分離した高分子型のEGF活性物質は耳下腺の唾液中には検出されず、分子量およそ6kDaの低分子型EGFが検出された。2)食間期(10:00-18:00)の耳下腺唾液におけるEGFの濃度は582.0±33.26pM、分泌量は0.40±0.03pmol/minであり、摂食時(18:00-19:00)に濃度が1015.5±102.47pM、分泌量が2.30±0.40pmol/minに増加した。さらに胃に挿管して胃液を採取し、そのEGF濃度を調べたところ、3)第一胃液中のEGF濃度は食間期で73.3±6.0pMであり、食後に339.1±125.4pMに増加した。4)第四胃液中のEGF濃度は食間期で659.2±120.0pMであり、食後に259.4±157.3nMにまで著しく増加した。以上の結果より、唾液腺組織中の高分子型のEGF活性物質はおそらくEGFの前駆物質であり、ヒツジでは食間期においても唾液中に低分子量の分泌型EGFが常に分泌されていることが明らかとなった。その分泌は食後に著しく増加し、それに一致して第一胃内のEGF濃度も増加することが明らかとなった。また、第四胃液内のEGF濃度も食後に増加するが、第一胃よりも濃度上昇が著しいことから、唾液腺以外からの分泌によって第四胃内のEGF濃度が上昇することが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Onaga T, Okada H, Hagiwara S, et al.: "Effect of nitric oxide donor and nitric oxide synthase inhibitor on ruminal contractions in conscious sheep"Research in Veterinary Science. 71. 189-195 (2001)
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[Publications] Onaga T, Zabielski R, Kato S: "Multiple regulation of peptide YY secretion in the digestive tract"Peptides. 23. 279-290 (2002)