2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオ耐熱性溶血毒素の検出における遺伝子増幅法を用いた新規システムの開発
Project/Area Number |
13760228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
工藤 由起子 国立感染症研究所, 食品衛生微生物部, 主任研究官 (50218632)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / PCR / 検出 / 耐熱性溶血毒素 / 食品 / 食中毒 |
Research Abstract |
耐熱性溶血毒(TDH)産生性腸炎ビブリオが原因食品から分離されることは極めて少なくその理由は明らかではない。本研究では、その理由のひとつとして、TDH産生菌の検出に汎用されているPCRによるtdh遺伝子の検出が食品検体の場合において問題がある可能性を考え、以下のような検討を行った。 1.PCR法におけるDNAポリメラーゼやプライマーの種類等の条件:tdh遺伝子陽性株の純培養液で検討した結果、tdh遺伝子の増幅に適したDNAポリメラーゼはTaq、Ex TaqおよびAmpliTaqの3種であった。さらに、プライマーは西渕らおよび伊藤らの報告した2種プライマーが有効であった。しかし、水産食品で検討した結果、Ex Taq DNAポリメラーゼおよび西渕らのプライマーが最もtdh遺伝子の増幅に適していることが明らかになった。 2.水産食品の種類によるtdh遺伝子の検出感度の差異:TDH産生菌を接種した水産食品培養液からPCRによってtdh遺伝子の検出を試みたところ、食品の種類によってtdh遺伝子の検出感度に犬きな違いがあることが判明した。また、食品培養液の濃度が低くなるほどtdh遺伝子の検出の感度が増加したことから食品培養液中にPCR抑制物質が含まれることが明らかになった。 3.PCRに用いる鋳型DNA精製によるtdh遺伝子検出の改善:水産食品培養液からのtdh遺伝子の検出の改善を目的としDNA精製法を用いて検討した結果、塩析法によっては改善が認められなかったがシリカメンブレンフィルター法では熱処理によるDNA抽出法のみを用いた場合よりもtdh遺伝子の検出感度を大きく高められることがわかった。 以上のような今年度の結果を踏まえ、来年度はさらに他のDNA精製法を組み合わせ多種の食品について検討を行いたい。十分な改善が認められない場合はさらにネスティッドPCR等を試みる予定である。
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