2001 Fiscal Year Annual Research Report
心内膜床形成における上皮―間葉系相互作用でのホメオボックス遺伝子Msx1の役割
Project/Area Number |
13770015
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山岸 敏之 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60255122)
|
Keywords | 上皮-間葉系相互作用 / 心臓発生 / 心内膜床 / Msx-1 / BMP2 / TGFβ3 / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
心内膜床は、初期胚心臓に生じる弁や中核の原基で、房室管と流出路(円錐動脈管)の内皮細胞が間葉細胞に転換して形成される。心内膜床の形成異常は先天性心疾患の原因の一つになる。心内膜床形成で起こる内皮(上皮)-間葉形質転換は、心筋から分泌される未知のシグナル因子と心内皮細胞から分泌されるTGF-β(Transforming growth factor-β:形質転換成長因子-β)によって制御されている。申請者は、心筋細胞からのシグナルとしてTGF-βファミリーに属するBMP2(Bone morphogenetic protein 2:骨形成因子2)を同定し、TGFβ3と協調的に作用することを報告した。一方、Msx1は、マウス胚やニワトリ胚発生過程でのmRNAの発現様式から、上皮-間葉形質転換にかかわっていると予測されているが、その詳細はいまだ不明である。申請者は、Msx1mRNAとタンパク質が心内膜床形成領域の内皮細胞と間葉に発現し、心筋細胞には発現していないことを明らかにした。これまでの実験で、TGFβとBMP2の協調作用には、ホメオボックス遺伝子であるMsx1の関与も示唆された。本研究において、心内膜床形成領域でおこる内皮-間葉形質転換でのMsx1の機能の解明を試みた。Msx1に対しアンチセンスオリゴDNAを6種類(Msx1遺伝子の異なる領域に対し)合成し、In vitroの生物検定でMsx1の機能の阻害を行った。このうち2つのアンチセンスオリゴDNAは、間葉への形質転換を抑制した。このときMsx1遺伝子の発現が抑制されていることをRT-PCR法で確認した。この結果から、Msx1が心内膜床形成過程での内皮-間葉形質転換に関与していることが明らかになった。
|