2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝実質細胞の部位差に基づく領域区分と各種血管樹との肝葉内立体配置の観察
Project/Area Number |
13770017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石川 朋子 日本医科大学, 医学部, 助手 (70212850)
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Keywords | 肝臓 / 肝実質細胞 / 肝類洞 / 三次元再構築 / 共焦点レーザー顕微鏡 / スンクス / マウス / ラット |
Research Abstract |
肝葉内組織構築を立体的に捉えることを目的とし、本年度は、連続切片再構築法および共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)法を用い、スンクス、マウス、ラットの肝類洞走行を三次元的に観察した。連続切片再構築法では、1ないし1.5μmのエポン連続標本を作製、光学顕微鏡下、門脈から分岐し中心静脈に流入する肝類洞を、両静脈と共に抽出、独自の二次元画像処理を施した後、三次元観察に供した。購入したリアルタイム三次元表示システム(Real Time Visualization)は再構築した立体像を任意に回転、切断しながらの観察を可能にする。これにより再構築した肝類洞走行をあらゆる角度から観察した。CLSM法では、血管内にFITC標識ゼラチンを注入した肝臓を80〜120μm厚切片とし、CLSMで連続光学スライス像を作製、Real Time Visualizationシステムにより上記と同様の三次元観察を行なった。 スンクス肝類洞は、門脈から分岐した後、直線的に走行し規則的な二分岐を数回繰り返した。この間隣接する類洞との吻合は見られなかった。中心静脈に近づくにつれて分岐角度は大きくなり、吻合もみられた。類洞は中心静脈の直前でこれを取り囲む1層の網状の槽を形成し、ここから限られた数の類洞が中心静脈へと流入していた。この網状槽はスンクスに特異的にみられた。エポン連続標本の光顕所見と照合することにより、類洞が直線的に走行する部位は大型肝細胞が分布する門脈域、吻合の見られる部位は小型肝細胞が分布する中心静脈域にそれぞれ一致することがわかった。マウス肝類洞は、門脈域で吻合のない規則的な二分岐をする点でスンクスと同じだが、その走行にやや蛇行がみられた。中心静脈域では並走する類洞の間にこれらをつなぐ吻合がみられ、網目構造を呈していた。ラット肝類洞は、全域において吻合が多く、複雑な網目構造を呈していた。中心静脈付近で合流により数を減じ中心静脈へと流入していた。現在ヒト肝類洞についても同様の方法で観察中である。
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