2001 Fiscal Year Annual Research Report
モルヒネ身体依存形成に関与するμ受容体遺伝子とプロテインキナーゼCの役割
Project/Area Number |
13770051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
成田 年 星薬科大学, 薬品毒性学教室, 講師 (40318613)
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Keywords | オピオイド受容体 / スプライスバリアント / アンチセンス / モルヒネ / 鎮痛効果 / 消化管輸送能 / ノックアウトマウス / モルヒネ依存 |
Research Abstract |
本年度は、まずμオピオイド受容体遺伝子のエクソン-4またはエクソン-5領域を標的としたそれぞれのアンチセンス核酸をデザインし、それらをマウスの脳内に慢性的に処置することによって、各エクソン由来μオピオイド受容体の発現を抑制したμ受容体サブタイプノックダウンマウスの作製に成功した。これらのマウスと遺伝子改変操作によって得られたエクソン-1由来μオピオイド受容体ノックアウトマウス、エクソン-2/3由来μオピオイド受容体ノックアウトマウスを使用して、モルヒネによる鎮痛効果、報酬効果ならびに消化管輸送能抑制作用発現の有無あるいはその抑制率の検討を行ったところ、エクソン-1あるいはエクソン-2/3由来μオピオイド受容体の完全欠損によりモルヒネ誘発鎮痛効果、報酬効果をはじめとするすべての効果は消失した。一方、アンチセンス核酸を処置してエクソン-4由来μオピオイド受容体の発現を制御することにより、モルヒネ誘発鎮痛効果、報酬効果および消化管輸送能抑制作用の発現はいずれも有意に抑制されたのに対して、エクソン-5由来μオピオイド受容体の発現を減少させることによって、モルヒネ誘発鎮痛効果は有意に抑制されたものの、モルヒネによる報酬効果ならびに消化管輸送能抑制作用はほとんど影響を受けなかった。また、このエクソン-4由来μオピオイド受容体サブタイプであるMOR1受容体とエクソン-5由来μオピオイド受容体サブタイプであるMOR1B受容体の選択的抗体を使用して上述した効果を確認した。さらには、こういった一連のアプローチによって、従来薬理学的に分類されていたμ-1オピオイド受容体サブタイプのノックダウンマウスであるCXBKマウスが、MOR1B受容体ノックダウンマウスであることをRT-PCR法や免疫染色法によって明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 成田 年, 大西 織江, 根本 真記, 青木 健, 鈴木勉: "Morphine誘発抗侵害効果の発現に対するphsphinositide 3-kinaseおよびphospholipase Cγの関与"日本神経精神薬理学雑誌. 21. 7-14 (2001)
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[Publications] 成田 年, 瀧本 淳, 相馬 仁, 矢島 義識, 水尾 圭祐, 黒木 由夫, 鈴木 勉: "Morphine誘発自発運動促進作用に対する逆耐性形成時のμ-opioid受容体機能変化"日本神経精神薬理学雑誌. 21. 55-61 (2001)
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[Publications] 青木 健, 成田 年, 矢島 義識, 鈴木 勉: "薬物依存の形成メカニズム、最近の研究"保健の科学. 43巻2号. 92-101 (2001)
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[Publications] 成田 年, 鈴木 勉: "オピオイド耐性、依存性に関する最近の研究"