2001 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによる二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼの阻害
Project/Area Number |
13770073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
松井 理 金沢医科大学, 医学部, 助手 (60288272)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / インターフェロン / PKR / コアタンパク質 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)のインターフェロン(IFN)抵抗性のメカニズムとして、我々はHCVのコードするタンパク質がIFNのよって発現が誘導される宿主細胞の抗ウイルスタンパク質の一つである二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)を阻害しているのではないかと予想し、これについて研究を行ってきた。その結果、我々はこれまでにPKRに対して阻害活性を持つHCVタンパク質として非構造タンパク質NS5Aを同定し、一方、他のグループによって構造タンパク質であるE2が同定された。しかし、この2つのウイルス遺伝子産物のPKRに対する阻害効果は比較的弱く、これらだけではHCVのIFN抵抗性を完全に説明することはできないと思われた。そこで我々はPKR阻害活性を持つウイルスタンパク質の新たな候補として、構造タンパク質であるコアタンパク質に着目し研究を行い、以下の結果を得た。 1.コアタンパク質(全長191アミノ酸残基)をGST融合タンパク質として大腸菌発現系を用いて組み換えタンパク質を作製し、様々な核酸に対する結合特異性を調べたところ、配列非依存的な核酸の場合、二本鎖RNAに対して最も高い親和性を示した。 2.前述の組み換えタンパク質を用いて、コアタンパク質とPKRとの二本鎖RNAに対する親和性を比較したところ、ほぼ同程度だった。 以上の結果から、コアタンパク質に二本鎖RNA結合タンパク質としての性質があることが明らかになり、PKRに対して阻害効果を持つことが示唆された。
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