2001 Fiscal Year Annual Research Report
剖検下垂体結節性病変における細胞分化誘導因子の発現
Project/Area Number |
13770084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀口 英久 徳島大学, 医学部, 助手 (40304505)
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Keywords | 下垂体 / 腫瘍 / 過形成 / 分子生物学 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
これまでに徳島大学医学部および関連施設において病理解剖された症例から採取された約111例(男性68例、女性43例)の下垂体組織について検討を行った。採取下垂体組織はホルマリン固定、パラフィン包埋され、HE染色、PAS反応が行われた。このうち18例(男性15例、女性3例)で26個の結節性病変が認められた。症例の基礎疾患は13例が悪性新生物、2例が進行性筋ジストロフィー、心不全、SLEおよびアミロイドーシスがそれぞれ1例ずつであった。これらの結節は周囲組織を圧排するように存在する腺腫様結節(14個)と圧排所見はないが、周囲組織と明らかに異なる過形成性結節(12個)に分けられた。18例全例に対して下垂体前葉ホルモン(成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体ホルモン(LH)、α-サブユニット(α-subunit))に対する免疫染色を行った。12個がPRLに陽性で、5例がGH,1例がACTHに陽性であった。残る8例ではいずれのホルモンにも陽性像はみられなかった。これを前述の結節の形態別に検討すると腺腫様結節では5例がGH、4例がPRL、1例がACTHに陽性で4例は陰性であった。一方、過形成性結節では8例がPRLで残る4例はいずれのホルモンにも陰性であった。以上の結果より剖検下垂体において偶発的に発見される結節性病変はプロラクチン産生細胞からなるものが最も多いということが明らかになった。また、組織学的に下垂体腺腫に近い腺腫様結節では成長ホルモン産生細胞からなるものが比較的多いということが、過形成性結節と異なる特徴であることが示唆された。
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