2002 Fiscal Year Annual Research Report
共焦点レーザー走査顕微鏡を用いた、皮膚腫瘍におけるサイトケラチンの局在の検討
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13770097
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
泉 美貴 東京医科大学, 医学部, 講師 (30228655)
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Keywords | サイトケラチン / 脂漏性角化症 / 基底細胞癌 / 日光角化症 / ボーエン病 / ケラトアカントーマ / イボ状癌 / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
[研究の背景および目的]サイトケラチン(Cytokeratin, CK)は細胞質内に存在する蛋白で,20数種類のサブタイプが報告されている.CKは腫瘍の種類あるいは分化度によってサブタイプの発現が異なることが内臓臓器の腫瘍では知られている.本研究では初年度は、正常皮膚および皮膚の腫瘍性疾患を用いて,腫瘍によるモノクローナル抗体CK発現のパターンの差異と癌化による変化について、光学顕微鏡により観察した.[研究の対象と実験方法]手術的に摘出された皮膚の扁平上皮癌の症例15例を検討した。高分化、中分化、低分化癌をそれぞれ5例づつ用いた。モノクローナル抗体は、汎CKであるAE1/AE3を使用した。共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡は、LaserSharp2000(BIORAD社)を、レーザー光源として、10mW空冷式クリプトンアルゴンレーザー(波長488、568)用いた。核はPropidium iodineで、細胞質はFITCにて標識した。[結果]サイトケラチンは、細胞質内にびまん性ないし細胞膜に高度に発現するパターンが主体であった。癌の分化度が下がり浸潤が深部におよぶ細胞では、CKの発現は全体に除々に低下していった。さらに分布のパターンが、原発性の悪性腫瘍の細胞ではCKは胞体内に細線維状に発現するのに対し、転移癌では細胞膜での発現がより高度となった。[考察]今回の検討結果から、CKの発現の強さが皮膚扁平上皮癌の悪性度の指標となる可能性が示唆された。さらにCKの胞体内での分布様式の変化は、癌の転移能を予測する因子としての役割が期待された。今後は、胞体内の発現の強さや分布をコンピューター処理により定量化することにより、悪性度や予後を客観的に予測する研究への発展が期待される。さらに今回の結果を皮膚における他のタイプの癌や良性腫瘍ないし良悪性の判断の困難である症例に応用することにより、形態診断への応用を試みるつもりである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Miki Izumi, et al.: "A case of myxoid adrenocortical carcinoma with extensive lipomatous metaplasia"Arch Pathol Lab Med. 127(2). 227-230 (2003)
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[Publications] Miki Izumi, et al.: "Angiomyoid Proliferative Lesion : An Unusual Stroma-rich variant of Castleman's disease of hyaline vascular type"Virchows Arch. 441. 400-405 (2002)
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[Publications] Keiichi, Miki Izumi, et al.: "Stromal expression CD10 in invasive breast carcinoma : a new predictor of clinical outcome"Virchows Arch. 33(8). 806-811 (2002)
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[Publications] 高橋芳久: "下肢を中心に顕著な多発性を示した類上皮血管腫の一例"病理と臨床. 20(11). 1187-1191 (2002)
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[Publications] 松林純: "先天性気管支食道瘻の1例"診断病理. 19(3). 2007-2009 (2002)
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[Publications] 泉 美貴: "脂腺母斑から発生した扁平上皮癌"日皮病理組織会誌. 17(1). 22-25 (2001)
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[Publications] 泉 美貴: "悪性黒色腫の診断・治療方針"金原出版. 7 (2001)