2001 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴画像装置を用いた、糞線虫感染による脳内病変と宿主行動変容の経時的解析
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13770126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
渡部 幹次 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70325679)
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Keywords | 糞線虫 / MRI / 行動変容 |
Research Abstract |
ネズミ糞線虫感染型幼虫4000隻をC57BL/6マウス(♂、8週令)に感染させその後のマウスの行動変容をopen field test、rotor rodにて観察した。Open field testでは感染マウス群で感染2日目、4日目にラインクロス回数の低下傾向をみたが有意差はなかった。立ち上がり回数、排便排尿回数に変化は認められなかった。Rotor rodでは感染マウス群が常に非感染マウス群より落下までの時間が延長しており、特に感染2日目において有意差をみとめた。これらのマウスを行動変容について観察後、Bruker社製核磁気共鳴画像装置(MRI)にて頭蓋内病変の観察を行った。T1強調画像では変化は認められなかった。T2強調画像では感染マウス群において感染4日目より嗅球にhigh intensity signalが観察された。このsignalは感染経過とともに増強し観察期間(感染21日目)が終わるまで観察された。一部のマウスの頭蓋より組織切片を作成しH-E染色にて観察を行った。感染4〜7日目より好中球を主体とした細胞浸潤が嗅球を主体に認められた。これに伴いマウス嗅球の層構造の乱れが観察された。糞線虫は感染1,2日目には嗅球内に感染していたがそれ以降は腸管に移動し頭蓋内では回収されなかった。 Open field testでは次年度にかけ侵害刺激に対する感染マウスの反応の変化を観察する必要がある。 Rotor rodでは感染マウス群で落下時間の延長が認められたが、MRI並びに組織切片の観察から感染4日目以降では宿主の炎症反応により惹起された可能性が高い。感染2日目にはマウス頭蓋内には炎症細胞浸潤が見られず、感染させた糞線虫が回収されたことから糞線虫自体が産生する物質により落下時間の延長が惹起された可能性が高い。
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