2002 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス遺伝子の転写・複製を制御する宿主因子RAF-2の機能解析
Project/Area Number |
13770153
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
百瀬 文隆 北里大学, 北里生命科学研究所, 助手 (90332204)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 宿主因子 / RNAポリメラーゼ / 核タンパク質 |
Research Abstract |
1.p36タンパク質の同定と遺伝子クローニング:精製RAF-2画分に含まれる36kDaタンパク質p36をリジルエンドペプチダーゼで消化し、産物であるペプチド群の分子量を質量分析装置によって測定した。得られた分子量に合致するペプチドのアミノ酸配列を検索したところ、ある既知遺伝子から翻訳されるタンパク質の部分配列と合致することが判明した。この遺伝子配列に基づいて、ヒトHeLa細胞由来cDNAライブラリーからPCR法によりp36遺伝子断片を増幅し、クローニングを行った。 2.組換えp36タンパク質の作製と欠損変異体の作製:得られたp36遺伝子から発現ベクターを構築し、大腸菌による組換えタンパク質の調製を試みたが、発現産物の分子量は予想アミノ酸配列の推定分子量に満たないものであった。p36遺伝子3'末端側に大腸菌では出現頻度の低いコドンが連続している為、翻訳が中断されているものと考えられる。実際、p36タンパク質をアミノ末端側およびカルボキシル末端側の2ドメインに分断した欠損変異体の作製を試みた結果、アミノ末端欠損変異体の翻訳が途中停止していることが判明した。 3.培養真核細胞によるp36タンパク質の発現と局在部位の同定:大腸菌では組換え体の調製が困難なため真核細胞内での発現を試みた。エピトープタグを融合したp36タンパク質の真核細胞用発現ベクターを構築しHeLa細胞にDNA導入を行ったところ、約36kDa野生型タンパク質の発現が確認できた。このときp36とp48が細胞核内において共局在していることが、抗p48抗体を用いた共染色により判明した。次に、組換えバキュロウイルスを作製し昆虫細胞によるGST融合p36タンパク質の調製を行った。得られたGST-p36を用いたGSTプルダウン法によってp48-p36相互作用を試験管内でも確認することができた。
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