2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規結合型食物繊維による体内蓄積ダイオキシン類の排泄促進
Project/Area Number |
13770208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助手 (20248066)
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Keywords | ダイオキシン類 / 排泄促進 / 食物繊維 / キトサン / クロロフィン |
Research Abstract |
ダイオキシン類の人体負荷を低減化する対策として生体外排泄促進に着目し、マウスを用いた動物実験からダイオキシン(PCDD)の排泄促進に有効な食物繊維およびポルフィリン誘導体の構造について検討してきた。その結果を基に、水溶性のポルフィリン誘導体であるCu-クロロフイリンNaを高分子食物繊維のキトサンに結合させ、不溶性とすることでPCDDの排泄効果を増強した新規結合型食物繊維を開発した。従って本研究では、これまで排泄効果を評価してきたPCDDに加え、ベンゾフラン(PCDF)およびコプラナーPCB(Co-PCB)に対しても効果を検討した。その結果、キトサンにCu-クロロフイリンNaを結合させた結合型食物繊維で飼育したマウスのPeCDD、PeCDFおよびPeCBの糞中排泄量は、コントロール群の33倍、49倍および12倍に増加した。この糞中排泄量の増加は、他の食物繊維摂取群およびポルフィリン誘導体摂取群のマウスに比べ最も顕著であった。この結果は結合型食物繊維の増強効果がPCDDだけでなく、PCDFおよびCo-PCBにも有効であることを示していた。 さらに、排泄促進による毒性の回復効果を評価するための毒性影響の指標として、ダイオキシン類による免疫抑制作用に着目した。免疫抑制はマウスの血清中に産生する抗DNP-lgM抗体を測定し評価した。まず、ダイオキシン異性体による抗体産生能の抑制を評価するため、4塩化、6塩化、および8塩化ダイオキシンをマウスにそれそれ経口投与し、.血清中の抗体量を測定したところ、TCDDを投与したマウスでは、投与量が0.1μg/kgで、ダイオキシン未投与のコントロール群に比べ75%に減少していた(図2)。さらに、抗体量はTCDDの投与量に依存して低下し、10μg/kgでは20%程度にまでに抑制された。HxCDD投与マウスでは、100μg/kgで25%程度に下がり、TCDDの10倍量の投与量でTCDDと同等の抑制作用が観察された。しかし、最も高塩素化体のOCDDでは1000μg/kgの投与量でもほとんど効果は認められなかった。以上の結果から、TCDDとHxCDDに関しては暴露量に依存して抗体量が減少することが確認でき、血清中の抗体産生量から暴露評価が可能であると判断した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] O.Aozasa: "Enhancement in fecal excretion of dioxin isomer in nice by several dietary fibers"Chemosphere. 45. 195-200 (2001)
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[Publications] O.Aozasa: "Alterations of the background dioxins levels in human serum of general population in Japan"Organohalogen Compounds. 52. 297-300 (2001)