2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩楯 公晴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90251222)
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Keywords | 脳塞栓 / 右室梗塞 / マクロファージ |
Research Abstract |
[方法] 肺塞栓による死亡例18例(肺塞栓群:血栓塞栓14例および脂肪塞栓4例)と、コントロール群として交通外傷等の外因による短時間での死亡例10例、計28例の剖検例を対象とした。心を定法によりホルマリン固定パラフィン包埋の後、約2-3μの切片を左右両心室について作製、CD68抗体を用い免疫染色した。標本を光顕、強拡大(対物×40)で検鏡、メカニカルステージを同一視野が重複しないようスクロールさせ、左右両室自由壁の無作為な100視野について、陽性細胞(マクロファージ)数をカウントし平均値を算出比較した。 [結果] コントロール群では、1視野中の平均マクロファージ数は、全例で左右両室とも1.0/視野以下であり、両室間に有意差は認められなかった。肺塞栓群においては、18例中右室ないし左室に平均1.0/視野以上のマクロファージを認めた例が15例あり、両室とも1.0以下であった症例は3例のみであった。10.0/視野以上の高度のマクロファージ浸潤を認めた例は5例あったが、これらはいずれも血栓塞栓例であり、右室優位に高度のマクロファージ浸潤を認めた。 [考察] 一般に、右室は左室に比し壁厚が薄く、また拡張期にも血液が供給されるなどの理由により、虚血状態に陥りにくいとされているが、肺塞栓時には、循環血液量の減少、右室内圧の上昇にともなう灌流圧の低下等により右室単独梗塞が生じうるとの報告がある。今回認められたマクロファージ数増加の明確な意義付けは困難だが、心筋梗塞時には、その程度が軽く・微小循環が保たれている場合、好中球よりもマクロファージが浸潤細胞として目立つとの報告もある。先述のように、右室は左室に比し虚血に陥り難いため、右室内圧が高度に上昇しても、典型的な梗塞には至らない程度の虚血状態が生じていた可能性も考えられた。
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