2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770222
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅野 水辺 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90283879)
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Keywords | オキシステロール / 過酸化脂質 / 動脈硬化 / コレステロール過酸化物 |
Research Abstract |
剖検時にヒト腹部大動脈より、正常または粥状硬化病変を有する血管壁を採取した。これよりFolch法により粗脂質を抽出し、さらに固相抽出法を用いてコレステロール画分を精製分取した。 このコレステロール画分を化学発光-高速液体クロマトグラフ(CL-HPLC)法にて分析したところ、粥状硬化病変(n=15)からはコレステロール過酸化物である7-hydroperoxycholesterolの2種の異性体(7α-,7β-hydroperoxycholesterol)が検出された。5α-hydroperoxycholesterolは検出されなかった。内部標準法にて定量したところ、7α-,7β-hydroperoxycholesterolはそれぞれ2.3±1.0 nmol/g、4.9±2.2nmol/gであった。一方、正常血管壁(n=15)からはいずれのコレステロール過酸化物も検出されなかった。 紫外部吸収-高速液体クロマトグラフ(UV-HPLC)法にてコレステロール酸化物である7-ketocholesterol,7α-,7β-hydroxycholesterolの定量分析を試みた。カラムはODS-2(150×4.0mm)を、移動相にはアセトニトリル/メタノール/水(46:45:9)を流速0.7ml/minで用いた。この条件で3種のコレステロール酸化物は分離可能であり、β-sitosterolを用いた内部標準法にてnmolレベルで定量可能であった。吸収波長210nmでは3種のコレステロール酸化物が同時に検出されたが、245nmでは7-ketocholesterolのみが特異的に検出された。吸収波長245nmの方が7-ketocholesterolに関して約2.5倍感度が良かった。よって、7-ketocholesterolは吸収波長245nmで測定した。分析した粥状硬化病変(n=15)の7-ketocholesterolは22.0±9.0nmol/gであった。正常血管壁からは7-ketocholesterolを検出しなかった。粥状硬化病変、正常血管壁のいずれからも7α-,7β-hydroxycholesterolは検出されなかった。
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