2002 Fiscal Year Annual Research Report
エタノールおよびアセトアルデヒドの脳内神経ペプチドY発現に与える影響
Project/Area Number |
13770224
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
木下 博之 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (00284357)
|
Keywords | アセトアルデヒド / エタノール / mRNA / c-fos / プロオピオメラノコルチン / 神経ペプチドY / アルコールし好性 / 視床下部 |
Research Abstract |
これまでに、エタノール(EtOH)および代謝物アセトアルデヒド(AcH)の脳内の神経ペブチドメッセンジャーRNA(mRNA)発現に与える影響について検討してきた。今年度は、まずAcHが視床下部室傍核での早期発現遺伝子c-fos発現に与える影響について検討した。実験は、EtOH(1g/kgおよび3g/kg)単独およびシアナマイド(アルデヒド脱水素酵素阻害剤)を併用投与し、EtOH投与の30分後に採取した脳を用いて定量的in situハイブリダイゼーションを行った。その結果、低用量エタノール投与時のc-fos発現に血中AcH濃度の上昇が大きく影響していることが明らかになった。 また近年、EtOHの感受性と脳内の神経ペプチドの関連が指摘されており、昨年度の検討でもプロオピオメラノコルチン(POMC)mRNA発現の重要性が示唆された。そこで今回は、法医学教室で継代飼育しているアルコールし好性の異なるWistar系由来の高アルコール嗜好性ラット(HAP)および低アルコール嗜好性ラット(LAP)を用いての検討も行った。それぞれのラットの脳を採取し、in situハイブリダイゼーションを行い、視床下部弓状核の神経ペプチドY(NPY)およびPOMCのmRNA発現を調べた。NPY mRNA発現は両群で差がみられなかったが、POMCmRNA発現はHAPラットがLAPラットに比べ発現が多くみられた。これらのことから、EtOH感受性にPOMC mRNA発現の差が関与していることが示唆された。今後さらにエンケファリンやダイノルフィンといった他の内因性オピオイドペプチドmRNA発現との関連についても検討を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)