2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ疾患遺伝子の同定及び病態発症メカニズム解明
Project/Area Number |
13770235
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
駒井 浩一郎 神戸大学, 医学部, 助手 (40304117)
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Keywords | 関節リウマチ(RA) / Dblプロトオンコジーン / 疾患遺伝子 |
Research Abstract |
1.病因遺伝子産物の機能解析 既に関節リウマチ(RA)疾患遺伝子としてDblプロトオンコジーンのエクソン23,24欠損型スプライスバリアントを同定している。平成13年度にはこれをクローニングし正常野生型と共に生化学的機能比較を行った。具体的には低分子量Gタンパク質RhoA, Rac1,Cdc42に対する各DblのGDP/GTP交換活性を測定し、RA型DblではCdc42に対する活性が約60%低下していた。 平成14年度ではさらにDbl新規スプライスバリアントを2種見出し、それぞれ活性測定を行い臓器別発現分布を明らかにした(BBRC 299(3),455-458,2002)。またPAK1アフィニティー沈降によって患者検体好中球のCdc42活性化程度を解析したところ、Dbl変異保有者においては活性化Cdc42が減少していた。今後Cdc42下流のシグナル伝達経路を検討し、RA病態形成との関与を解明する。 2.遺伝子変異解析 平成13年度にDblゲノムDNAの配列分析を行い、患者群に有意な新規一塩基変異をnt2522+394(C→T)、nt2632+106(T→G)、nt2632+211(A→C)およびnt2745+576(G→A)の4個所見出した。これらのうち後者3個所はほぼ同時に変異しており、家系発症患者群で有意に健常群より変異率が高かった。 平成14年度ではさらに孤発発症患者群1000例と対照群500例において変異頻度を比較した結果、変異率は健常群よりも高かったものの有意差は示さなかった。これらの結果よりこれらの変異は特に家系発症例に集積しており、遺伝的にRAを規定していることが示唆された。さらに変異部位に結合する核内タンパク質をサウスウエスタン法によって探索し、約60kDaタンパク質の結合が示唆された。今後イントロンの点変異とDblエクソン23,24欠損の生じる因果関係を解明する。 以上
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koichiro Komai, Rie Okayama, Michinori Kitagawa, et al.: "Alternative splicing variants of human DBL (MCF-2) proto-oncogene"Biochemical and Biophysical Research Communications. 299(3). 455-458 (2002)
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[Publications] 小西良武, 川崎博樹, 村山公一, 駒井浩一郎 他: "慢性関節リウマチ感受性遭伝子の同定"ゲノム医学. 2(2). 21-27 (2002)
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[Publications] 駒井浩一郎, 塩沢俊一: "慢性関節リウマチの疾患感受性遺伝子探索"炎症と免疫. 10(4). 100-105 (2002)
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[Publications] 塩沢俊一, 駒井浩一郎, 川崎博樹 他: "関節リウマチの疾患関連遺伝子とその機能"日本臨床. 60(12). 2269-2275 (2002)
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[Publications] 塩沢俊一, 駒井浩一郎, 中務美紀子: "疾患遺伝子からみた自己免疫疾患発症機構の研究"実験医学. 21(1). 30-35 (2003)
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[Publications] 塩沢俊一, 駒井浩一郎, 小西良武 他: "遺伝子医学別冊「これだけは知っておきたい遺伝子医学の基礎知識」"関節リウマチの疾患遺伝子""メディカルドゥ社. (2003)