2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
奥井 理予 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20327654)
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Keywords | 一本鎖抗体 / 抗体ライブラリ / ヒト型 / 相同組換え / ファージディスプレイ / 人工抗体 / イムノグロブリン |
Research Abstract |
近年、一本鎖抗体を用いた研究や創薬治療が注目を浴びている。しかし、これまでに報告されている一本鎖抗体ライブラリは、抗体レパートリーが少ない、不安定であるなどの欠点があった。そこで独自に改良した方法により、安定でレパートリー数の多いファージ提示型ヒト型一本鎖抗体ライブラリの簡易作製システムを開発した。その結果、約10^<10>レパートリーをカバーするヒト型一本鎖抗体ライブラリを作製することに成功した。 まず、翻訳開始部位を持たない非発現型VHベクターとプロモーターが組み込まれていない非発現型VLベクターを構築した。VHベクターはアンピシリン耐性遺伝子を選択マーカーとした。VLベクターは当初アンピシリン耐性遺伝子タイプを作製したが、組換え効率を上げるために後でカナマイシン耐性遺伝子に変更した。ヒト脾臓および末梢血cDNAを鋳型として抗体遺伝子のVH・VL領域を別々に増幅した。これをVH・VL別々の非発現型ファージミドベクターに挿入し、それぞれ10^6以上の独立クローンからなる一次ライブラリを作製した。組換え酵素を発現する大腸菌に一次ライブラリ由来のファージを共感染させ、一晩培養しVL・VH間の組換え反応を行わせた。さらにヘルパーファージの多重感染により組換え一本鎖抗体ファージに変換した。残存する一次ライブラリーファージを取り除くために一度大腸菌に感染させ、ファージに変換する時に組換え体のみ発現するクロラムフェニコール耐性遺伝子を用いて選別を行った。これにより約10^<10-11>レパートリーをカバーする発現型(ファージ提示型)一本鎖抗体ライブラリを作製した。得られた30クローンをPCR法で調べると約70%が予想される組換え体であった。 このライブラリはレパートリーを減少させる再増幅を行わなくても一次ライブラリから容易に高レパートリーの抗体ライブラリを再生産可能な特徴を持つ非常に優れたシステムである。
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