2002 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性疾患の遺伝的素因としての好酸球遊走・活性化因子受容体の遺伝子多型の同定
Project/Area Number |
13770242
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 助手 (60234217)
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Keywords | アトピー性疾患 / 遺伝子多型 / 好酸球 / 遊走・活性化因子 / 受容体 / 血小板活性化因子 / 2-アラキドノイルグリセロール / CB2受容体 |
Research Abstract |
本研究では、血小板活性化因子受容体などの好酸球遊走・活性化因子受容体の発現や機能に変化をもたらすような遺伝子多型の検索を行ってきた。前年度に引き続き、血小板活性化因子受容体遺伝子のプロモーター領域の多型について検討したが、受容体の発現制御に変化をもたらすようなものは確認されなかった。一方、炎症に関わる新たな遊走・活性化因子を検索した結果、内在性カンナビノイドであることが近年明らかとなった2-アラキドノイルグリセロールが、前骨髄球性白血病細胞のHL-60細胞を遊走させる作用があることを新たに明らかにした。興味深いことに、2-アラキドノイルグリセロールは強力な遊走因子として知られている血小板活性化因子よりもHL-60細胞を遊走させる能力が高かった。さらに、2-アラキドノイルグリセロールはHL-60細胞からのIL-8やMCP-1などのケモカインの産生を促進することも明らかとなった。HL-60細胞を好酸球様に分化させることが知られている酪酸ナトリウムで処理した場合、このケモカイン産生促進作用は増強したが、好中球様に分化させるレチノイン酸で分化させた場合には2-アラキドノイルグリセロールによる促進作用自体が見られなくなった。このように、2-アラキドノイルグリセロールは好酸球の遊走因子である可能性がある。HL-60細胞で発現しているカンナビノイド受容体はCB2受容体であることから、今後、好酸球におけるCB2受容体の発現とその制御、多型の有無などを調べる必要がある。
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