2002 Fiscal Year Annual Research Report
ワクチンが目的とする免疫応答を誘導することのできるアジュバントの開発に関する研究
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13770248
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
蒲地 麻衣子 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 主任研究官 (00270645)
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Keywords | ワクチン / アジュバント / 細胞性免疫 / 体液性免疫 / IgE / リポソーム |
Research Abstract |
同一の抗原に対して、アルミニウムアジュバント(alum)を用いると抗原特異的IgGおよびIgE抗体産生が誘導されるのに対し、リポソーム結合抗原は抗原特異的、IgE選択的に抗体産生を抑制する。この現象を解析することを目的として、今年度は以下の検討を行った。 1.CD8陽性T細胞を除去したマウスにおける抗体産生の検討:CD8陽性T細胞がIgE抗体産生を調節に関与するという報告があるが、CD8陽性T細胞を除去したマウスにおいてもリポソーム結合抗原はIgE抗体産生の選択的抑制を誘導したことから、CD8陽性T細胞が関与していないことが示唆された。 2.IL-12欠損マウスにおける抗体産生の検討:IL-12によって誘導されるタイプ1ヘルパー細胞(Th1)がIgE抗体産生を調節することが知られているが、Th1が誘導されないIL-12欠損マウスにおいてもリポソーム結合抗原によってIgE抗体産生の選択的抑制が誘導されたことから、タイプ1免疫応答の誘導は関与していないことが示唆された。 3.IL-10に対する中和抗体を投与したマウスにおける抗体産生の検討:IL-10が隼IgE抗体産生の調節に関与することが知られているが、抗体を用いてIL-10を中和したマウスにおいてもリポソーム結合抗原によってIgE抗体産生の選択的抑制が誘導されたことから、IL-10が関与していないことが示唆された。 4.リポソーム結合抗原を免疫したマウス由来CD4陽性細胞を移入したT細胞欠損マウスにおける抗体産生の検討:リポソーム結合抗原をBALB/cマウスに免疫し、このマウス由来のCD4陽性T細胞をT細胞欠損BALB/cマウスに移入した後alumを用いた免疫を行ったところ、IgE抗体産生が誘導された。このことから、リポソーム結合抗原によって誘導されるIgE産生の選択的抑制はT細胞に非依存的であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakano, Y., Mori, M., Yamainura, H., Naito, S., Kalo, H., Taneichi-Kamachi M et al.: "Cholesterol Inclusion in Liposomes Affects Induction of Antigen-Specific IgG and IgE Antibody Production in Mice by a Surface-Coupled Liposomal Antigen"Bioconjugate Chemistry. 13. 744-749 (2002)
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[Publications] Taneichi-Kamachi M., Naito, S., Kato, H., Komuro, K., Uchida, T.: "T cell-independent regulation of IgE antibody production induced by surface-linked liposomal antigen"J.Immunol.. 169. 4246-4252 (2002)
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[Publications] Naito, S., Taneichi-Kamachi.M, et al.: "Selective inhibition of systemic anti-OVA IgE production in response to oral preadministration with OVA-liposome conjugates"Int.Arch.Allergy Immunol.. 129. 314-319 (2002)
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[Publications] 種市(蒲地)麻衣子, 内田哲也: "完全フロイントアジュバントのIgE産生抑制機構"臨床免疫. 第38巻1号. 102-106 (2002)