2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞障害活性を持つヒトモノクローナル自己抗体の解析
Project/Area Number |
13770280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 美奈 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60287331)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / モノクローナル自己抗体 / 抗体依存性肝細胞障害 |
Research Abstract |
我々は昨年までに、自己免疫性肝炎(AIH)患者の末梢血リンパ球を用いて作製した。この抗体は、IgMクラスの抗体で、ヒトだけでなくマウスの肝細胞と反応するが他の臓器由来の細胞とは反応しない。さらに、正常ヒト血清存在下でその認識する細胞を障害することができる。本年度は、この抗体が認識する肝細胞関連抗原を用いたELISA法の確立を試み、その意義について検討した。この抗体が認識する抗原は、第一段階として、肝癌細胞株であるhuH-7細胞をNP40で破砕し、得られた可溶性抗原を用いてELISA法を行った。次いで、この可溶性抗原を2E3抗体結合したAffinity columnを通す事により、2E3と特異的に結合する分子を生成し、ELISA法の確立を試みた。その結果、可溶性抗原を用いたELISA法では、生成した2E3抗体は抗体量依存性に反応するのに対し、対照として用いたミエローマ患者由来のIgMとは反応しない事が明らかになった。このELISA法を用いて、6例のAIH患者血清を測定し、標準に対するEIA Unit(EU)で算定したところ2.13-6.04(平均4.18±1.5)であり、健常者のそれは平均1.23±0.3であった。 我々が今回確立を試みたELISA法で、2E3抗体がhuH-7細胞の可溶性抗原を認識する事が明らかになり、先にFACSを用いた細胞染色法の結果を再確認できた。さらに、抗体のAffinity columnを用いて生成した分子を用いたELISA法でも同様の結果を確認できた。さらに、このELISA法を用いることにより、AIH患者血清中に、我々が作製したモノクローナル抗体と同じ特異性を持つIgM型自己抗体が存在している可能性を明らかにできた。今後は、この分子の詳細な化学性状の解析を行い、より安定したELISA法の確立を試みる必要があると考える。
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Research Products
(1 results)